2011 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニック蚊を用いたマラリア原虫-唾液腺の相互作用の解明
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21390126
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 栄人 金沢大学, 薬学系, 教授 (10296121)
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Keywords | ハマダラカ / マラリア / トランスジェニック / 唾液腺 / スポロゾイト |
Research Abstract |
ハマダラカの唾液タンパク質であるAAPP(anopheline anti-platelet protein)はコラーゲンと結合し、血小板凝集阻害を起こすことが知られているが、in vivoでの解析は行われていない。そこで、ハマダラカ吸血時におけるAAPPの動態を解析することを目的に、海洋性プランクトン(Metriadia longa)由来の分泌型ルシフェラーゼ(MetLuc)とAAPPのC末端側に付加した融合タンパク質(MetLuc-AAPP)を唾液腺に発現する遺伝子組換えハマダラカ(Anopheles stepphensi)を作製した。唾液腺で発現したMetLuc-AAPPはMetLucの基質特異的なルシフェラーゼ活性を有しており、コラーゲン結合能があることがわかった。この蚊をマウスに吸血させ、MetLucの基質をマウスに投与したところ、蚊の刺咬部位で高い発光が確認された。さらに吸血後50分に基質を再投与したところ同じ場所で発光が見られ、MetLuc-AAPPは刺咬部位に留まっていることが分かった。 AAPPの活性部位を同定するために、5種類のdeletion mutantsを作製し、タンパクの精製を行った。評価試験の結果、活性部位はC末端半分に位置し、立体構造依存的であることが明らかになった。現在市販されている抗血小板薬は、重篤な副作用として出血助長が起こる。今回のin vivo薬効試験では、AAPPは出血助長が全くなく、血小板凝集阻害活性を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マラリア媒介蚊であるハマダラカ(An.stephensi)の唾液タンパクAAPPの動態および血小板凝集阻害活性の解析は順調に進展し、得られた成果は2報論文として発表した。一方、唾液タンパクのノックダウン法の確立については、導入したRNAiが十分に機能していないことが判明した。これは唾液腺という特異な器官によるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続的にハマダラカ唾液タンパクの解析を行い、マラリア原虫との関わりを解明する。さらにAAPPタンパクは、コラーゲンと結合して血小板凝集阻害を示すことが明らかとなったので、新しい抗血小板薬としての創薬研究へと展開を図る。また、マラリア感染地域の住民は高い抗AAPP抗体価が誘導されていることを発見した。これを新しいマラリア疫学調査の指標とできるかも合わせて検討する計画である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Novel prophylactic vaccine using a prime-boost method and hemagglutinating virus of Japan-envelope against tuberculosis2011
Author(s)
Okada M, Kita Y, Nakajima T, Kanamaru N, Hashimoto S, Nagasawa T, Kaneda Y, Yoshida S, Nishida Y, Nakatani H, Takao K, Kishigami C, Nishimatsu S, Sekine Y, Inoue Y, McMurray DN, Sakatani M.
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Journal Title
Clin Dev Immunol 2011
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of therapeutic and prophylactic vaccine against Tuberculosis using monkey and transgenic mice models2011
Author(s)
Kita Y, Okada M, Nakajima T, Kanamaru N, Hashimoto S, Nagasawa T, Kaneda Y, Yoshida S, Nishida Y, Nakatani H, Takao K, Kishigami C, Kishigami C, Nishimatsu S, Sekine Y, Takamori Y, McMurray DN, Cruz EC, Tan EV, Abalos RM, Burgos JA, Saunderson P, Sakatani M.
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Journal Title
Hum Vaccin
Volume: 7
Pages: 108-114
DOI
Peer Reviewed
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