2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの感染様式の解析と感染指示細胞株の樹立
Project/Area Number |
21390138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 善治 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50157252)
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Keywords | HCV / 感染 / ヒト不死化肝細胞 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の実験室株であるJFH-1ウイルスの細胞培養系が確立されたが、病原性を保持した患者血清由来のHCV (HCVser)を培養できる方法は未だ確立されていない。本研究は、不死化ヒト肝細胞株であるHc細胞のHCVの増殖に必須な宿主因子の発現と、ウイルス感染により惹起される自然免疫応答能を検討し、HCVserに感受性を示す細胞培養系の確立を目的とした。Hc細胞は全てのHCVのレセプター候補分子の発現が認められたが、miR122やApoEの発現は認められなかった。一方、VSV感染やIFN-α刺激に対する自然免疫応答はHuh7細胞と同等であった。通常の培養条件で、Hc細胞にHCVserを接種しても、接種後5日目以降にはHCV-RNAを検出できなかったが、細胞内蛋白質導入試薬(PIDR)を用いると、接種後25日目までHCV-RNAが検出可能であった。また、IFNの転写因子であるIRF3/7のドミナントネガティブ変異体(DN-IRF3/7)をHc細胞に強制発現させ、PIDRによってHCVserを感染させた場合に、HCV-RNAの有意な上昇が認められた。miR122やApoEをHc細胞に強制発現させても増殖効率の改善は認められなかった。DN-IRF3/7を全て発現させたHc細胞では、接種後約80日間に渡ってHCV-RNAの検出が可能であった。不死化ヒト肝細胞株であるHc細胞には既報のHCV感染受容体候補分子が全て発現しており、PIDRを用いた強制導入や自然免疫の抑制によってHCVserの感染を許容できる可能性が示唆された。今後さらに長期培養を試みるとともに、新たなHCV複製に必須な宿主因子を導入することによってHCVserの増殖効率の改善を進めたい。
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Research Products
(28 results)