2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボルナウイルス感染のエピジェネティック制御機構:RNAウイルスの新しい病原性
Project/Area Number |
21390139
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (10301920)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / RNAウイルス / 病原性 / 持続感染 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本研究は、クロマチンに接合して複製する非分節のマイナス鎖RNAウイルス-ボルナウイルス(Bornadisease virus以下、BDV)-による宿主ゲノムのエピジェネティック制御の分子機構を明らかにする試みである。BDVは神経細胞の核内で非細胞障害性に持続感染する。その病原性は感染細胞の機能破壊と考えられており、宿主クロマチンへの相互作用によるエピジェネティック制御の影響が示唆されている。宿主染色体に持続的に相互作用するRNAウイルスはBDVのみであり、本研究によりこれまで知られていない全く新しいRNAウイルスの宿主相互作用と病原性発現機構そしてその利用法を発見できると考えられる。平成21年度は、以下の点を中心に解析を行った。これまでに、研究代表者らはBDVRNPがコアヒストンを介して宿主クロマチンに接合していることを明らかにしている。しかし、BDVRNPがどのような環境にあるクロマチン領域を選択して特異的に結合しているのかについては明らかになっていない。そこで、申請者らが開発したウイルスRNP-クロマチン免疫沈降法(RNP-ChIP)を用いて、RNPが接合しているクロマチン領域の分離同定とその領域の染色体環境の解析を試みた。また、BDVは核内で持続感染を維持するために、宿主のクロマチン環境あるいは遺伝子発現を自らの生存に有利に制御していると考えられる。そこで、BDV感染細胞における宿主ゲノムのエピジェネティックな変化をピストン修飾に特異的な抗体を用いて解析を行った。現在までに、ピストンのメチル化とBDVの複製について相関性が得られている。今後、確認実験を行うことでその意義について明らかにする予定である。
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