2009 Fiscal Year Annual Research Report
内因性I型インターフェロン産生細胞を介した漢方薬の感染防御機構の研究
Project/Area Number |
21390224
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 賢治 Keio University, 医学部, 准教授 (70191757)
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Keywords | 十全大補湯 / インターフェロンα / toll like receptor 4 / MyD88 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
これまでの我々の実験により漢方薬・十全大補湯により大腸の内在性インターフェロン産生能を高めるが明らかとなり、その感染防御能を生かしたウイルス感染症に対する予防・治療効果が期待された。 そこで平成21年度には十全大補湯の感染防御機構を明らかにする事を目的としてノックアウトマウス(KO)を用いた実験を行った。現在、IFNα産生はtoll like receptor(TLR)sを介するEarly Phaseと、interferon alpha receptor(IFNAR)を介するLate Phaseから構成される2 step modelが提唱されている。本研究ではLPSを初めとする極めて広汎な微生物成分・植物成分を認知するTLR4、及びTLR3を除くほぼ全てのTLRsのアダプター分子としてシグナル伝達において大きな役割をもつMyD88に注目して研究を行った。7週齢雄性のMyD88 KOマウス、TLR4 KOマウス、およびこれらのマウスの野生型であるC57BL/6マウスを用いて精製水もしくは十全大補湯1.0g/kgを胃ゾンデで2週間連続経口投与した後(n=6)、大腸におけるI型IFN関連遺伝子の発現レベルを、リアルタイムRT-PCRで測定した。その結果、I型IFN関連遺伝子の定常状態での発現レベルは、C57BL/6マウスと比較して、TLR4KOマウスでは変わらず、MyD88KOマウスでは顕著に増加していた。さらに十全大補湯により、C57BL/6マウスではこれらの遺伝子の発現レベルを上昇させ、MyD88KOマウスにおいては減少させ、TLR4KOマウスでは影響を与えなかった。これらのことからIFNα産生経路上の遺伝子KOおよび十全大補湯が大腸のIFNα産生系に大きく影響することが示唆された。
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Research Products
(7 results)