2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液神経関門の人為的改変:難治性末梢神経疾患新規治療法開発へのアプローチ
Project/Area Number |
21390268
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神田 隆 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40204797)
|
Keywords | 血液神経関門 / トランスポーター / 血管内皮細胞 / 血管周細胞 / 末梢神経障害 |
Research Abstract |
1.ヒトBNB機能蛋白の解析とBNB構成ヒト不死化細胞を用いた各種自己免疫性ニューロパチー血清のBNBに対する効果の検証 (1)MMN多数例に関する解析を行い、MMN症例の血清はBNB機能蛋白(claudin-5)の量的減少をきたし、TEERを減少させる効果を有すること、これらの過程を通じてBNB機能を脆弱化させる効果を有することを明らかにした。(2)フィッシャー症候群患者血清、ビッカースタッフ型脳幹脳炎患者血清ともにBNB構成細胞に対する影響はなく、この2疾患の臨床表現型はビッカースタッフ脳幹脳=炎患者血清のみがもつBBB破壊効果によることが明らかとなった。(3)AGEをヒトBNB構成細胞に投与する実験を昨年度より引き続き行い、以下の結果を得た。i)AGEはBNB構成内皮細胞のVEGFを増加させる。また、血管周細胞からparacrineに放出されるVEGFが近接する内皮細胞に作用し、BNBのバリア機能が低下する。ii)AGEは血管周細胞からのTGFbetaを介して基底膜肥厚をきたす。VEGFが糖尿病性ニューロパチーにおけるBNB破壊のkey moleculeであることが証明された。 2.トランスポーター蛋白の機能的阻害によるBNB機能の改変 BBB由来内皮細胞を用いて、ABCG2の阻害剤であるnovobiocin、MRP-1の阻害剤であるMK-571およびP-glycoprotein(p-gp)の阻害剤であるverapamilを用い、これらのtransporterがAβ40のBBB由来内皮細胞からの汲みだしに関与しているか否かを解析する予備実験を施行した。MK-571およびverapamilはAβ40の輸送に影響を及ぼさなかったが、novobiocin使用下でAβ40のBBB由来血管内皮細胞への取り込みの増大が認められた。ABCG2はAβの脳側から血液側への血液脳関門を介した排出に関与していると考えられた。
|