2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的T細胞レセプターとケモカインレセプター同時発現によるがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
21390294
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安川 正貴 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60127917)
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Keywords | がん免疫 / 細胞傷害性T細胞 / T細胞レセプター / ケモカイン / レトロウイルスベクター / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
目的:本研究の目的は、がんに対する効率的な新たな免疫細胞遺伝子治療を開発することである。 方法:WT1特異的HLA-A24拘束性T細胞クローンおよびAurora-A特異的HLA-A2拘束性T細胞クローンから、TCR-αおよびTCR-βをクローニングした。これらのTCR発現レトロウイルスベクターベクターを構築した。また、内在性TCR発現を抑制する(siTCR)新規レトロウイルスベクターを作製した。これらTCR遺伝子導入T細胞の抗がん機能を検討した。他方、白血病細胞や固形がん細胞に高発現するケモカインをスクリーニングした。そのケモカインに対するレセプター発現ベクターを構築した。 結果:WT1特異的TCRを強制発現させたCD8陽生T細胞は親CTLクローン同様、WT1特異的HLA-A24拘束性こ細胞傷害活性を獲得し、白血病細胞をHLA-A24拘束性に傷害した。WT1特異的TCR遺伝子導入CD4陽性T細胞も同様に、HLA-A24拘束性にWT1特異的機能を獲得した。従来のTCR発現ベクターでは、内在性TCRと競合することから、発現効率は不良であったが、siTCR発現ベクターを用いることによって、内在牲TCRの発現がほぼ完全に抑制され、発現効率が格段に向上できることが示された。同様に、Aurora-A特異的TCR発現T細胞は、親TLクローンと同様に、HLA拘束性に腫瘍細胞を傷害することが確認できた。白血病細胞および肺がん細胞では、MCP-1ケモカインが高発現していることが明らかとなった。そのレセプターであるOCR2をTCRと同時発現させたところ、腫瘍細胞に遊走し、効率的に傷害することが示された。現在、WT1特異的siTCR発現ベクターを用いた免疫遺伝子治療の臨床研究を計画してその準備を進めている。
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