2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的T細胞レセプターとケモカインレセプター同時発現によるがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
21390294
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安川 正貴 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60127917)
|
Keywords | がん免疫療法 / 遺伝子治療 / 細胞傷害性T細胞 / T細胞レセプター / ケモカイン / ヒト化マウス |
Research Abstract |
悪性腫瘍に対する新たな免疫療法開発の目的で研究を遂行した。その結果、下記の成果が得られた。1)WT1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)クローンからT細胞レセプター(TCR)遺伝子を単離した。さらに、内在性TCR発現を抑制し、がん特異的TCRを選択的に発現できる新規レトロウイルスベクターを用いてWT1-TCR発現ベクター(siTCR)を開発した。siTCRは従来型ベクターに比べてTCR発現効率が向上し、遺伝子導入T細胞の抗腫瘍効果ならびに抗原特異性も向上し、効率性と安全性に優れたベクターであることが明らかとなった。2)HLA-A*2402拘束性Aurora-A由来ペプチド特異的CTLクローンからTCR遺伝子を単離し、siTCR発現ベクターを構築した。Aurora-A-siTCR発現CTLは、悪性腫瘍細胞をHLA-A*2402拘束性にin vitroおよびin vivoで傷害したことから、がんに対する新たな免疫遺伝子療法の可能性が示された。3)HLA拘束性ヒトT細胞免疫応答をin vivoで誘導できる新たな小動物実験系を、ヒト造血幹細胞移植HLA-A*0201遺伝子導入NOD/SCID/IL2rγ^<null>マウスを用いて確立した。この実験系を用いることにより、ワクチン開発において重要な知見が得られる事が期待される。4)白血病ならびに肺がん細胞におけるケモカイン発現を検討したところ、CCL2の発現が亢進していることが明らかとなった。そこで、WT1-TCRとCCL2レセプターであるCCR2遺伝子を同時にCD8陽性T細胞に導入した。その結果、WTI-TCR単独発現細胞よりも効果的にがん細胞を障害できることが示された。 以上の研究成果から、がんに対する新たな細胞免疫遺伝子治療の可能性が示された。現在、臨床試験を申請中である。
|