Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 英樹 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (40142377)
大野 達也 群馬大学, 重粒子医学研究センター, 准教授 (10344061)
盛武 敬 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50450432)
水本 斉志 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20512388)
奥村 敏之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50241815)
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Research Abstract |
本研究では,陽子線治療を組み込んだ集学的がん治療への展開を推進するため,以下の4つのプロセスにより基礎と臨床をつなぐトランスレーショナルリサーチを行うことを目的とした. I.陽子線による高次の抗腫瘍効果発現メカニズムの解明としては,陽子線のブラッグピークでの酸素効果の定量的評価を開始した.また,アポトーシスやDNA二重鎖切断を指標とした人腫瘍での細胞死を定量化し,陽子線の生物学的効果比を算出した.II.正常組織反応のメカニズムの解明としては,肝細胞がんの陽子線治療時に問題となる肋骨骨折に注目し,その発症頻度,リスクに関する研究を行った.本研究は,現在論文投稿中となっている.III.陽子線と最適な併用療法の探索に関する検討では,食道癌,胆管細胞癌への化学放射線療法について検討を行った.進行食道癌に対する化学療法と併用した陽子線治療は,治療効果が療法であるだけでなく,心や肺毒性が低減可能であり,新しい治療法として確立できる可能性が示唆された.IV.新しい臨床試験の立案と実行については,平成22年度は小児腫瘍に対する陽子線治療の安全性,有効性評価,ならびに進行非小細胞肺癌に対する化学療法併用陽子線療法のプロトコールが走り始め,平成22年度末までに小児腫瘍では,24例,肺癌では8例の登録を行った.小児腫瘍では,正常組織への線量の低減により,認知機能低下や内分泌機能低下,また骨成長障害の回避が予想される症例を経験した.また,小児頭頸部腫瘍に関する長期的観察後の結果を国際誌上に出版した.
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