2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛に関連する情動異常の脳内発現機序と疼痛増悪機序の解明
Project/Area Number |
21390434
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真下 節 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (10110785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 政彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座教授 (50216016)
井上 隆弥 大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座助教 (00335358)
阪上 学 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70379254)
中江 文 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60379170)
松田 陽一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00397754)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 情動行動異常 / うつ / α2Aアドレノ受容体 / 筋肉痛 / fMRI / 帯状回 / 脳ペインマトリックス |
Research Abstract |
平成21年度に行った研究成果は下記のとおりである。 1)神経障害性疼痛モデル動物における情動行動異常発症に対するα2アドレノ受容体の関与:これまでに神経障害性疼痛発症後しばらくして情動行動の異常が出現することを明らかにしてきた。今回、正常マウス(コントロール)、α2A受容体変異マウス(α2A-D79N)、α2C欠損マウス(α2CKO)において第5腰神経結紮による神経障害性疼痛モデルを作成し、強制水泳試験によってうつ行動を評価した。神経結紮を行わない群では、不動時間はα2A-D79N、コントロール、α2CKOの順で長かった。神経結紮40日後の群では、コントロールとα2CKOマウスでは有意な不動時間の延長がみられたが、α2A-D79Nマウスでは不動時間の延長は認められなかった。これらの結果から、神経障害性疼痛から誘導されるうつ行動の発現にはα2Aアドレノ受容体が深く関与していることが示唆された。 2)脳における筋肉痛の認知:ヒトの痛みの認知に関する脳機能画像の研究において、筋肉痛の認知についての研究は少ない。健康成人において下腿の骨膜・筋に圧刺激によって痛みを与え、fMR Iによって脳の活動部位を調べた。右脛骨前面(骨膜痛)と右腓腹筋(筋痛)にデジタル式圧痛計を用いて圧刺激を加え、NRS3~8の間で4種類の痛みを与えた。疼痛刺激20秒間与え、40秒の間隔を空けてそれぞれ3回与えるのを1タスクとした。各タスクにおいてfMRIによる脳機能画像を測定し、SP99を用いて解析した。骨膜痛では反対側の左視床前障に活動がみられ、筋痛では同側右の被殻、視床および左帯状回に活動が認められた。以上の結果から、筋痛は骨膜痛に比べて辺縁系の活動が有意で、感覚系だけでなく情動系への影響が強いことが示唆された。
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Research Products
(17 results)