2011 Fiscal Year Annual Research Report
突発性難聴における血液迷路関門の破綻と血管障害関連遺伝子
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21390460
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 務 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30180277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 慎二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50242863)
下方 浩史 国立長寿医療研究センター, 疫学研究部, 部長 (10226269)
寺西 正明 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20335037)
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Keywords | 突発性難聴 / メニエール病 / MRI / 血管透過性 / 炎症 / 遺伝子多型 / インターロイキン / CFH |
Research Abstract |
内耳血管透過性の元進は、静注したガドリニウム造影剤が内耳液に漏れ、MRIにて造影所見陽性となることで知ることができる。突発性難聴やメニエール病では内耳血管の透過性が元進していた(Acta Otolaryngol,2010年6月号、2011年5月号) 造影剤投与10分後と4時間後と2回MRIを撮って検討したところ4時間後が有意に造影度が強かった(Acto Otolaryngol, 2012) 名古屋大学耳鼻咽喉科に受診した突発性難聴、メニエール病の遺伝子多型検索血液サンプルは、現在までにそれぞれ87人、86人分が集まった。これらサンプルと国立長寿医療研究センターにおける2000人以上のコントロールで遺伝子多型に差がないか種々検討した。インターロイキン1Aの889T(rs 1800587)の頻度は突発性難聴、メニエール病ともに有意に高かった.(Int J Immunogenet. 2011) IL-6 C-572G,IL-4R G1902A,IL-10 A-529C,TNFα C-863A,TNFRSF1B G593A,VEGF C936T,VEGF C-2578A,VEGF G-1154Aを調べたところIL-6 572Gアレルは突発性難聴リスクを有意に上げていた。他の7つの遺伝子多型では有意差を認めなかった(J Neurogent, Epub)また、特に糖尿病の合併する突発性難聴ではComplement Factor Hの遺伝子多型が発症のリスクと関与することを見出した(GENE, in Press)。 このように突発性難聴では、内耳血管の透過性が克進している例が多いこと、血管透過性と関連のある炎症系の遺伝子多型においてコントロールと有意差があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
突発性難聴の血管透過性および発症リスクに関係する遺伝子多型について、文献目録や研究実績の概要(in press文献含)に示したように成果をあげることができた。しかしながら、血管透過性を示した症例とそうでない症例で遺伝子多型にどのように差があるのか明らかにすることは出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
突発性難聴において内耳血管透過性を示した症例とそうでない症例で遺伝子多型にどのように差があるのか、あるいはないのかを明らかにすることは出来なかった。この理由として血管透過性の亢進があるかどうかを検査するMRIを撮影できる症例が限られていたこと、また撮影できても、発症から相当日時が経過してからであったことがあげられる。血管透過性の亢進の有無は副腎皮質ステロイドホルモンの効果と関連する可能性があり、重要な課題である。今後、突発性難聴治療前にMRIを撮り、その結果とステロイドホルモンの効果、遺伝子多型がどのように関係するのか検討したい。
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Research Products
(43 results)