2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグナルプレックスを基盤とした口腔感覚形成機構の解明
Project/Area Number |
21390494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若森 実 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50222401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 卓史 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30455795)
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Keywords | パッチクランプ法 / カプサイシン受容体 / TRPV1 / チャネル |
Research Abstract |
ユージノールは歯髄鎮静・鎮痛作用と消毒作用があり歯科で良く用いられる.一方,ユージノールと同様にフェノール骨格を持つカプサイシンは辛み成分であり、痛みを惹起する.脊髄後根神経節細胞や三叉神経節細胞でユージノールは小さいながらもカプサイシンと同様に電流を惹起する.この電流はカプサゼピンで抑制されることから,ユージノールはカプサイシン受容体(TRPV1チャネル)に作用する可能性が示唆されている.しかし,これは鎮痛ではなく発痛の作用メカニズムの説明にすぎない.更に,カプサゼピンは電位依存性Na^+チャネルもブロックすることが報告され,選択性が疑われてきている.また,TRPV1チャネルに対するユージノールの効果を詳細に解析した報告はない.そこで,ユージノールのTRPVIチャネルへの作用機序を詳細に検討した.三叉神経節の中型~小型細胞にパッチクランプ法を適用し,膜電位を-60mVに保持し膜電流を測定した.カプサイシンは0.03μMで内向き電流を惹起し始め,3μMでほぼ最大応答が得られた.この濃度-反応曲線のEC_<50>とヒル係数はそれぞれ0.55μMと1.7であった.更にTRPV1チャネルを発現させたHEK293細胞でのカプサイシンのEC_<50>とヒル係数はそれぞれ0.22μMと1.4であった.ユージノールはカプサイシン応答を濃度依存的に抑制した.また,カプサイシンの濃度を高くすると,ユージノールの抑制曲線が高濃度側にシフトした.このユージノールの抑制は内向き電流時に強く(約45%),外向き電流時に弱かった(約20%).更に,ユージノールは酸(pH5.9)で惹起されたTRPVIチャネル電流もブロックした.以上の結果からユージノールは複数の作用点を持ち,カプサイシンと受容体部分で競合する他,チャネルポアを遮断する可能性が示唆された.
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