2009 Fiscal Year Annual Research Report
デンタルバイオフィルムにおけるクオラムセンシング誘導物質のin situ解析
Project/Area Number |
21390508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野杁 由一郎 Osaka University, 歯学部附属病院, 講師 (50218286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
薮根 敏晃 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90423144)
朝日 陽子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
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Keywords | デンタルバイオフィルム / クオラムセンシング / オートインデューサー / ホモセリンラクトン / レポーターアッセイ / LC / MS / MS解析法 |
Research Abstract |
大阪大学歯学部附属病院保存科に来院した難治性根尖性歯周炎罹患患者等の歯肉縁上バイオフィルムを中心に種々のバイオフィルム試料を採取し、レポーターアッセイ法あるいはLC/MS/MS解析法により、バイオフィルム中の細胞間シグナル伝達物質であるオートインデューサー(AI)の1種である、アシルホモセリンラクトン(AHL)の検出を試みた。25名より得られたバイオフィルム試料では、レポーターアッセイでは感度が低く、AHLの検出は困難であった。そこで検索対象を拡大し、LC/MS/MS法により微量解析を行ったところ、サンプルの保持時間中にいくつかのピークがみられ、ホモセリンラクトン(HSL)あるいはその類似物質がバイオフィルム中に存在することが明らかとなった。しかしながら、今回ターゲットとした、C_4-HSL, C_6-HSL, C_6-oxo-HCL, C_8-HSL, C_8-oxo-HSL, C_<10>-HSL, C_<10>-oxo-HSL, C_<12>-HSL, C_<12>-oxo-HSL, C_<14>-HSL,ならびにC_<18>-HSLの保持時間とは異なったところにピークがみられ、これら以外のHSLがデンタルバイオフィルム中に存在し機能していることが示唆された。現在、ピークが検出された物質の同定を行うとともに、他方で今回供試したヒトのバイオフィルムサンプルの5-10倍量を目標に採集し、再度LC/MS/MS解析法にてターゲットであるHSLの検出を試みる予定である。 一方、難治性根尖性歯周炎に強く関与しているPorphyromonas gingivalisのバィオフィルムをin vitroで作製し、HSL類似化合物を作用させたところ、17種類中10種のHSL類似化合物はバイオフィルムに影響を与え、そのうちの3種の化合物(C_<16>H_<32>N_2O, C_<19>H_<29>NO_3ならびにC_<11>H_<14>N_2O_3)はP. gingivalisバイオフィルムを抑制した。これらより、同菌にはHSLIの受容体が存在することが示唆され、in situのデンタルバイオフィルムにおいてもHSLを介した細胞間シグナル伝達が存在すると推察された。
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Research Products
(7 results)