2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯・永久歯由来幹細胞バンキングの有用性の検討と難治性疾患に対する再生治療研究
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21390524
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 朗仁 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50244083)
國貞 隆弘 岐阜大学, 医学研究科, 教授 (30205108)
田中 光郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10143596)
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Keywords | 難治性疾患 / 歯髄幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 損傷治癒 / 脳梗塞 / 培養上清 / パラクライン効果 / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
歯髄幹細胞は間葉系幹細胞マーカーを発現しており、多分化能を有することを確認した。歯髄幹細胞をラット脳梗塞や脊髄損傷に移植し、移植後2ヶ月で行動・運動機能改善を確認した。またマウス皮膚欠損部に移植すると、移植後7日目、14日目で創部閉鎖率が上昇することを明らかにした。歯髄幹細胞移植により創部のコラーゲン沈着と血管新生が促進されることを免疫染色により見いだした。歯髄幹細胞移植によるパラクライン効果を検討するため、無血清培養上清をマウス皮膚欠損部に移植した。無血清培養上清の移植においても創部閉鎖率が上昇することを確認した。歯髄幹細胞はパラクライン効果により創傷治癒を促進することが示唆された。さらに他の致死的な急性全身疾患の治療にも有効であることが明らかとなっている。さらに我々は、これら治療効果の本質を探る研究を開始した。近年、移植した間葉系幹細胞による免疫制御効果が注目されている。我々は、歯髄幹細胞の無血清培養上清が一次免疫を担う単球やマクロファージなどの性質を大きくかえることで、損傷部の炎症環境を大きく変化させることを見いだした。この効果は、「なぜ、歯髄幹細胞の培養上清が様々な疾患に対して優れた治療効果を発揮するのか」という問いかけに一定の回答を与えるものと考える。今後、歯髄幹細胞の免疫制御効果を担う分子機構の解明が期待される。歯髄幹細胞の移植およびその培養上清投与による様々な難治性疾患治療の可能性が現実性を増してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに歯髄幹細胞の細胞移植をベースにした難治性疾患の治療法を開発してきた。その発表は確認しただけでも50社の以上の国内外報道機関で取り上げられる極めてインパクトの高い研究成果として発表することができた。しかしながら、細胞移植の治療効果は移植細胞の生着率に大きく影響される。腫瘍化などの危険性もはらんでいる。そこで我々は幹細胞の培養液で治療する新しい概念と取り組み成果をあげ始めている。再生医療の新しいページが開かれようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
歯髄幹細胞の培養上清治療の適応疾患の拡大を目指し。その治療メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(12 results)