2011 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属イオンの生体防御系細胞内での輸送システムの解明と生体安全性との関連評価
Project/Area Number |
21390526
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵谷 忠慶 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (30405774)
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Keywords | 歯学 / 生体材料 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 遷移金属イオン |
Research Abstract |
ヒト単球様細胞THP-1(理研細胞銀行)をフォルボースエステル誘導することによってマクロファージに分化させ、銅イオンやTEGDMAモノマーによる細胞傷害性を多面的に評価した。具体的な研究成果は下記の通りであった。 (1)50-500μM塩化銅(II)を培地中へ添加し、経時的にMTSアッセイを行って細胞生存率を調べるとともに、24時間後には透過型電子顕微鏡による観察とCaspase3の活性測定を行った。1時間後と3時間後には、マイクロアレイによってmicroRNAの発現を解析した。その結果、300μM以上の塩化銅(II)存在下では、細胞生存率が有意に低下したが、Caspase3活性の有意な上昇はなかった。この時、細胞突起は消失して小胞体が膨張し、ミトコンドリアが破壊される水腫様変性像が多数認められた。塩化銅(II)添加3時間後には、let-7a,let-7b,let-7e,let-7f,miR-1等32のmicroRNAが1.5倍以上発現上昇した。300μM以上の塩化銅(II)では、let-7ファミリーをはじめとする多くのmicroRNAが関与して、マクロファージはネクローシスへ向かう可能性が示唆された。これらのmicroRNAは銅イオンの細胞内輸送に深く関与していると類推された。 (2)異物代謝酵素遺伝子はIC50濃度(500μM)のTEGDMAモノマーを分解し、アルデヒドを介してアルコール分解物の生成にまで至ったと考えられた。TEGDMAとグルタチオンの抱合も考えられた。抗酸化ストレス遺伝子は過酸化脂質の還元等を行うと考えられた。グルタチオンの欠乏は抗酸化ストレス能力を低下させ、細胞障害に繋がると考えられた。TEGDMAの小さな起炎性はNF-κB経路ではなくMAPK経路によると考えられた。これらの酸化ストレスは遷移金属イオンに暴露されたマクロファージにも生じていると類推された。
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