2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における癌幹細胞およびニッチ機構の同定とそれを標的とした診断・治療法の開発
Project/Area Number |
21390539
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
新谷 智章 広島大学, 病院, 助教 (90403518)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌細胞 / 癌幹細胞 / 無血清培養 / CD133陽性細胞 / sphere形成能 / 低酸素環境 / 抗癌剤 / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
【目的】近年、自己複製と限定された分化により腫瘍構成細胞を供給し続ける癌幹細胞の存在が明らかとなってきた。本研究において、ヒト口腔扁平上皮癌(OSCC)の癌幹細胞を標的とした新しい診断・治療法を開発することを目指して、OSCC細胞株由来CD44陽性細胞群、さらにside population(SP)細胞群の細胞・分子生物学的特徴の解析を行った。 【方法】当科で樹立した口腔癌細胞株(OSCC)株、KO、NA、UE、KA細胞をCD44マグネティック付き抗体で処理し、AutoMACSにてCD44+細胞群を分離し、単層培養系での増殖能および浮遊培養系でのsphere形成能を、我々が開発した無血清培地で検討した。また、CD44+/-細胞群をhoechst33342色素で処理後FCMを用いてSP細胞群を分離し、CD44+/SP、CD44-/SP、CD44+/non-SPおよびCD44-/non-SP細胞群を得た。続いて、各細胞群の単層培養系での増殖能および浮遊培養系でのsphere形成能を、無血清培養系で検討した。 【結果および考察】各細胞株において、全細胞におけるCD44陽性細胞の比率は、80~90%の高値を示した。CD44+およびCD44-におけるSP細胞の割合は0.5~5%であり、同一細胞間では同じ値を示した。また、臨床的に高転移能を示した症例から樹立した細胞株ほどSP細胞の比率は高値を示した。各細胞株をドキソルビシン塩酸塩(DXR)存在下で継代培養を重ねる事によりSP細胞群の比率は増加した。CD44+とCD44-細胞間で、単層無血清培養系での増殖能および無血清浮遊培養系でのsphere形成能に差は認めなかったが、CD44+あるいはCD44-に関わらず、SP細胞群は各親株細胞および各non-SP細胞群と比較して高い増殖能とsphere形成能を示した。以上の結果より、口腔扁平上皮癌細胞株におけるCD133陽性細胞およびSP細胞群は、高い増殖能とsphere形成能を有する、癌幹細胞としての性質持った細胞群であると考えられた。
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