2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌幹細胞の分離・同定と癌幹細胞特異的治療法の開発
Project/Area Number |
21390544
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
浦出 雅裕 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (70104883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50309473)
橋谷 進 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00330449)
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Keywords | 口腔癌 / 癌幹細胞 / 免疫組織化学 / 細胞培養 / 造腫瘍性 |
Research Abstract |
本研究は、増殖能の高い癌細胞の供給源として自己複製し、さらに抗癌剤多剤耐性や放射線耐性形質を有する癌幹細胞が口腔癌においても存在するか否かを明らかにし、それを分離・同定することによって、癌幹細胞特異的治療法を開発することを目的とする。 本年度は、まず口腔扁平上皮癌培養細胞に対して、癌幹細胞を多く含むといわれているFACSによるSP(Side population)分画を検討した。その結果を以下に示す。 1)SCCKN,SCCTF,SCCKN,OSC19には、癌幹細胞と考えられるVerapamil感受性のSP細胞が0.04~0.4%程度含まれていることが明らかとなった。 2)造腫瘍性や転移能の高いシクロオキシゲナーゼ(COX)-2高発現KB/COX-2は、対照のKB/Neoに比べて、SP分画に含まれるVerapamil感受性細胞を2.5~4.6倍多く含んでいた。さらに、KB/COX-2は、KB/Neoに比べ、癌幹細胞のマーカーの1つと考えられるCD44の発現が高かった(論文1)。しかし、SP分画における転移関連ケモカインであるCXCR4陽性細胞率には差が見られなかった。 3)口腔扁平上皮癌由来H-1およびSa-3とそのシスプラチン耐性細胞H-1R,Sa-3Rは14~28%の高いVerapamil感受性SP分画を有していた。Sa-3とSa-3RではSP分画に差はなかったが、H-1RはH-1に比べて、1.6倍のSP分画細胞を含んでいた。一方、SP分画におけるCD44陽性/CXCR4陽性細胞率はH-1とH-1Rの間には差がなかったが、Sa-3RはSa-3の約17倍高かった。H-1RとSa-3Rは多剤耐性に関わるMDR-1遺伝子を高発現していることは既に報告されている。 口腔癌の浸潤、転移や抗癌剤耐性とSP細胞の共通性をさらに検討するとともに、臨床材料における癌幹細胞の存在についても、検討を進める予定である。
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Research Products
(1 results)