2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌幹細胞の分離・同定と癌幹細胞特異的治療法の開発
Project/Area Number |
21390544
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50309473)
岸本 裕充 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30291818)
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Keywords | 口腔癌 / 癌幹細胞 / 細胞培養 / 造腫瘍性 / 抗癌剤耐性 / 上皮・間葉移行 |
Research Abstract |
癌幹細胞が保有する特性として、ABCトランスポーターによる抗癌剤耐性と浸潤・転移に関連する上皮・間葉移行(Epithelial mesenchymal transition, EMT)がある。今年度は、種々異なった特性を有する口腔扁平上皮癌培養細胞を用いて、主としてウエスタンブロットによる癌幹細胞あるいは癌幹細胞様細胞の同定を試みた。 1) 浸潤様式の異なる口腔扁平上皮癌培養細胞におけるEMT発現と癌幹細胞特性との関連 Y-K分類のGrade 3相当のOSC20、Grade 4C相当のOSC19、Grade 4D相当のHOC313とTSUにおいて、EMTマーカーであるE-カドヘリン発現はOSC20,OSC19で強く、逆にN-カドヘリンとzyxinはOSC19とHOC313,TSUで強く発現していた。一方、癌幹細胞マーカーであるNanog,BMI,ALDH1はこれらの細胞間において明らかな発現差を認めなかったが、CD44はHOC313とTSUで強い発現を認めた。 2) シスプラチン耐性口腔扁平上皮癌培養細胞における癌幹細胞様特性の検索 前年度にはMDR-1を発現しているシスプラチン耐性口腔扁平上皮癌培養細胞H-1RとSa-3Rでは、親株に比べSP分画の増加とCD44/CXCR4発現の亢進を認めたため、あらたにSCCKN,OSC19,HSC3のシスプラチン耐性細胞を作成(耐性度2~5倍)し、癌細胞マーカーであるOct4,Nanog,BMI,Klf-4発現を調べたが、親株との間に明らかな差を見いだせなかった。これら3種の耐性細胞ではMDR-1発現がなかったことから、癌幹細胞特性にはMDR-1発現は必須と考えられる。 3) COX-2高発現KB/COX-2細胞における癌幹細胞様特性の検索 COX-2遺伝子導入したKB細胞(KB/COX-2)は、親株KBに比べて少ない細胞(3万個)で腫瘍形成可能であることから、癌幹細胞マーカーであるALDH1とCD44発現を検討したところ、ALDH1発現では両細胞間に明らかな差を認めなかったが、CD44はKBに比べKB/COX-2で明らかに強い発現を認めた。 CD44は口腔扁平上皮癌のEMTマーカーおよび癌幹細胞マーカーとして有用であることが示唆された。
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Research Products
(10 results)