Research Abstract |
過去の事例検討,国内外の看護学・医学・社会学・福祉学などの文献検討,家族エスノグラフィー(兵庫県,長崎県での面接調査,参加観察など),ミックス法を用いた家族機能調査,臨床家への面接調査などから,新しい概念である家族症候を導き出し,それを類型化した.家族症候(第1案)は,家族の成長にかかわる発達力不足,家族環境の変調への不適応,家族の社会的交互作用障害,家族の社会的孤立,理想の家族像の実現困難,家族システムストレスへの不適応,家族レジリエンスの発達困難,家族の形成困難,家族内外の対人関係障害,家族のセルフケア力の低下,家族ニーズの未充足,家族の拘束的ビリーフの存在,家族の意思決定上の葛藤,家族の合意形成困難,家族インターフェイス膜の調整不全,家族アドヒアランスの低下,スピリチュアルペインによる家族の苦悩,家族の逸脱現象の派生の18種類で構成され,それぞれの判定状態を一覧にした. 家族症候に適用できる家族支援は,「フロネーシスとエビデンスに基づいた家族支援」であることが明らかになり,症候別家族看護と経過別家族看護を開発した.ウェルビーイングな家族への予防期家族看護,イルビーイングな家族への急性期家族看護・慢性期家族看護・終末期家族看護について,それぞれ標準家族看護計画(第1案)を作成した.また,家族情報収集のフォーマット(神戸式),家族アセスメントのフォーマット(神戸式),家族関連図(神戸式),家族経過図のフォーマット(神戸式)などを開発した.これらは,家族同心球環境モデルに立脚した「家族環境支援モデル」の基礎になるものであり,今後はこれらをさらに拡充させる必要がある.
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