2009 Fiscal Year Annual Research Report
ローベルト・ムージルの文学と中央ヨーロッパの諸都市の研究
Project/Area Number |
21401019
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
早坂 七緒 Chuo University, 理工学部, 教授 (30108104)
|
Keywords | ムージル / 神秘思想 / マクシミリアンI世 / オーストリア文学研究 |
Research Abstract |
1 マクシミリアンI世伝説について、インスブルック大学のブレンナ文書館にて文献調査。1800年代の資料を複写し、古書を蒐集した。さらに現地の調査方法の教示をうけ、実際にマルティン岸壁付近まで行き、写真を撮影した。インスブルックの書店で文献蒐集。 2 ウルム市文書館にてRoberの年代記の現物を撮影。ウルム聖堂に登り、実際に記念銘板を撮影。以上により、研究者が以前より主帳していた説、ムージルの作品「黒つぐみ」および「ポルトガルの女」の主人公の奇矯な行動が、マクシミリアンI世伝説にもとづくものであるとする説の、すくなくとも伝説部分が確認された。 3 クラーゲンフルト鉄工業関係者(Fiedler, Frey)については、クラーゲンフルト文書館には資料がなかった。ウィーン市博物館学芸員Suzanne Winklerに相談したところ、ウィーンの4つの博物館、資料館を紹介された。継続して調査をする予定である。 4 シュラートミングおよびフィルツモースを調査した。19歳のローベルト・ムージルが1900年に滞在し、ヴァレリー・ヒルパートという女性と接触したのち、巡礼教会のあるフィルツモースで数日間、忘我(Ekstase)の境地を味わったとされる。現地を調査し、重大な仮説を唱えることができた。 5 ドイツ語のホームページを作成した。原書の初版本を図版で示したものは、ドイツ語圏にもなかったものである。また、日本のこれまでの翻訳、研究書も図版で示し、我が国のムージル研究の水準を示した。
|
Research Products
(2 results)