2013 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト初期国家形成期における穀物調理の専業化と集落の都市化
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21401033
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
高宮 いづみ 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70221512)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古代エジプト / 先王朝時代 / ヒエラコンポリス遺跡 / ナカダ文化 / ビール / 専業化 / 都市化 / 麦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エジプト初期国家形成期における穀物調理の専業化と都市化の解明を目的とし、そのためにエジプト南部ヒエラコンポリス遺跡において穀物調理施設の発掘調査をはじめとする考古学的調査を実施してきた。 最終年度の本年度は、発掘調査によって出土した人工遺物の整理作業を完結するとともに、ヒエラコンポリス遺跡集落域において穀物調理施設の分布調査を実施した。 本年度に土器の整理・記録作業を完遂したことによって、発掘調査対象とした大型穀物調理施設は前4千年紀前半に年代付けられることが明らかになり、発掘された調理施設の規模(1回に約1000リットルの麦汁を加熱できる)と合わせて、同遺跡では前4千年紀前半から家政規模をはるかに上回る大規模な穀物調理が行われていたことが確実となった。 また、南北2km余りに広がる集落域において穀物調理施設の存在を示す証左を求めて地表面から分布調査を実施したところ、既発掘の施設と合わせて約20カ所の地点に穀物調理施設の存在可能性を認めた。ただし、穀物調理施設は集落域内に均一に分布しているわけではなく、その南北と縁辺部に多いようであった。 これらの調査の結果から、大規模な穀物の加熱調理は早くから主に集落縁辺部で行われてきており、ある程度専門家の関与が不可欠であったことに加えて、集落内に食料生産と関連する穀物調理の大規模施設が空間的に組織化され、専業域が区画化される都市化の要因にもなったであろうことを明らかにできた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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