Research Abstract |
研究2年目は,ゴビ砂漠南東部において,日本人3名と中国南京地質古生物研究所Li准教授,モンゴル科学アカデミー古生物センターのIchinnorov博士とともに,8月中旬に2週間の現地調査を行った.シネフダグ地域のShinekhudag層(バレミアン~アプチアン階),エーデムト地域のKhootin Khotogor層(ジュラ系中部),およびKhootin khotogor層に対比される,ハラフヅル地域のKhamarkhoovor層を地質調査し,モンゴル南東部における下部白亜系および中部ジュラ系の厚い湖成層の岩相層序を確認した.各地域の好露出セクションで,ルートマップを作成しながら岩相層序(地質柱状図を作成)を確立し,化石(カイエビ類,二枚貝,貝形虫など)の精密採集に加えて,有機化学・同位体比・無機化学分析用試料を適切な層準毎に多数採取した. Shinekhudag層では,主に灰色薄葉理頁岩,シルト質泥岩,石灰質泥岩からなる,層厚約300mを調査した.一方,Khootin khotogor層は,薄葉理頁岩,油母頁岩,シルト質泥岩からなり,有機炭素量が多い.今回得られたカイエビ類化石をLi准教授が同定し,中国北東部の湖成堆積盆の群集との比較から,本層はこれまで考えられていた白亜系ではなく,中上部ジュラ系であることが判明した.これらの泥質岩相には数10cm,数m,10-20m規模の規則的な堆積サイクルが容易に認められ,それらの周期解析から地球軌道要素変動に由来するかどうかの検証を進めている.また,両層の年代層序確定と陸域古環境変動の解明に向けて,1)炭素同位体層序,2)カイエビ類化石層序,3)挟在凝灰岩層のF-T年代測定,4)主要元素組成と風化指標(Ohta and Arai,2007)に基づく古風化度変遷の復元,5)有機物指標(TEX_<86>)による古温度復元,6)頁岩・泥岩互層のサイクル層序についての解析を進めている.これらの成果の一部はIGCP507国際シンポジウムや日本地球惑星科学連合大会,日本地質学会,日本古生物学会で概要を報告した.
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