Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
太田 亨 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 講師 (40409610)
長谷部 徳子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (60272944)
山本 正伸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (60332475)
|
Research Abstract |
ゴビ砂漠南東部シネフダグ地域で,8月中旬に10日間の現地調査を行った,下部白亜系の湖成層であるシネフダグ層については,これまでの調査で作成した岩相柱状から明らかになった規則的な堆積サイクルの実態を再確認し,湖成環境変動を精密に把握するために,長さ約200mのトレンチ調査を行った.この厚さ約30mの層準において,カイエビ類化石などの精密採集に加えて,有機化学・同位体比・無機化学分析用試料の精密サンプリングを行った.一方,下位のツァガンツァフ層上部(河川および湖成層),上位のフフテグ層下部(河川成夾炭層)を加えた層序や堆積相変化を把握するため,徹底して露出を探して連続層序の確立を目指した. 3層の含有有機物の炭素同位体比(δ13C)から求めた変動曲線と,大西洋域の標準曲線との比較から,調査層準はアプチアン前~後期に対比され,海洋無酸素事変(OAE)1a,1bの層準が予測できるようになった.また,シネフダグ層の岩相(頁岩-ドロマイト互層や薄葉理頁岩)解析から,厚さ数10μで発達する薄葉理が年縞であることが推定された.これらの周期解析をした結果,層厚約1-2, 5, 20mの周期を見出すことができた.年縞から概算した堆積速度(約6cm/ky)では,それぞれ2-4, 10, 40万年というミランコビッチ周期の階層性とおおよそ一致する為,これらは地球軌道要素変動に起因した湖水位変動を記録しているらしい.主要元素組成と風化指標に基づく古風化度変遷の復元からは,温帯~半乾燥帯の古気候や10万年周期の気候変動を示唆する結果が得られた.挟在する凝灰質砂岩層のジルコン粒子F-T年代分布から,少なくともシネフダグ層上部の年代が約116Ma以降という見積もりも得られた. これらの成果は,IGCP507国際シンポジウム(北京)や日本地球惑星科学連合大会,日本地質学会,日本古生物学会などで概要を報告した.
|