Research Abstract |
野外調査/試料解析:前年度までの結果を受けて,予想以上に複雑であったアルバニア,Mirditaオフィオライト北部の形成当時の深度方向および横方向の空間変動を意識して詳細な調査を行った。採取して来た試料の記載,化学分析測定を行った。また,トルコで開催された国際学会において研究成果を発表するとともに,野外巡検に参加し,サンプリングを行った。また,これまでに採取した試料についても,引き続き解析を行った。 意義/重要性:Mirditaオフィオライト東部地域のマントルセクションに関して,深度方向に規則正しい変化がある事を明らかにし,この変化を,マントル物質が島弧的環境でうける火成活動に対応した結果である事を示した。本研究成果の意義は,島弧深部のマントル物質は,実際には直接手にいれることや観察することができないことから,物質学的な検証がこれまで乏しかったが,より島弧環境下で,島弧深部物質の中で,火成活動のプロセスを読み取る事ができた。島弧や大陸の形成に関する新しい知見をもたらしたと言える。 一方,Mirditaオフィオライト西部のマントル物質の物質学的情報はこれまで乏しかったが,本調査によって,中央海嶺下で形成されるようなマントル物質に類似していることが明らかとなった。しかしながら,その一部の岩相には,島弧環境化で形成されたと考えられるものが局所的に産しており,西部は,東部よりも島弧的環境の影響は乏しいが,少なくとも一部は島弧的な火成活動の影響を記録されていそうであることがわかってきた。
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