2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21403011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (70332476)
石井 吉之 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (40222955)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70186708)
大手 信人 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10233199)
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60237071)
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Keywords | 水循環 / 炭素循環 / 永久凍土 / メタン / 水同位体比 / シベリア / 温暖化 |
Research Abstract |
北東ユーラシア永久凍土帯に広がるタイガ林は、地球上の水と炭素の循環に大きな影響を及ぼしていると考えられる。 本研究では、生理生態学的手法と安定同位体比を利用した物質循環プロセス研究を進め、年々大きな変動を示しながら温暖化の影響により変化していると考えられる東シベリアタイガ林生態系において、土壌水分の変動がもたらす3つの機能(水文学的機能、炭素固定機能、ポテンシャルとしてのメタン放出機能)の変動を解明するため、ヤクーツクとチョコルダにおいて以下のような観測を継続した。 1ヤクーツク (1)リター生産量、樹木生長量の観測、光合成速度、有機物炭素同位体比の測定(継続) (2)過去200年に遡る環境復元のための年輪採取 (3)15N窒素トレーサー実験および、イオン交換樹脂法による土壌中の無機態窒素量の測定、有機物窒素含量とその窒素同位体比、植物体内の硝酸還元酵素活性の測定。 (4)地下水およびレナ川河川水のサンプリング 2チョコルダ(タイガ-ツンドラ境界)において観測サイトを設定 (1)地温、土壌水分と酸化還元電位と植生観測の継続 (2)凍土のボーリングによる水および氷のサンプリング (3)チャンバー法によるCH4観測と同位体比観測 (4)カラマツの光合成速度、同位体比測定のためのカラマツ葉と枝、年輪サンプリング (5)土壌中無機窒素量の測定 ヤクーツクのタイガ林生態系では、土壌水分の変動が窒素循環の変化を通して炭素循環に影響を及ぼしていることを示す観測結果が得られ、現在公表に向けて準備を進めている。チョクルダでは、メタンフラックスに大きな空間的変動が見られ、メタン放出機能が土壌水分および植生に依存していることを示すデータが得られている。同位体比のデータとあわせて放出プロセルの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東シベリアレナ川流域に広がる平地タイガ林では最も重要な変動要因は土壌水分であるが、その変化と栄養塩(窒素)の変動との関係の解明に目処がたち、加えて、利用可能な窒素量が生産量にも影響をおよぼしている可能性を示すデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
チョクルダサイトでのマニュアル観測は順調に進んでおり、メタン放出の空間変動、年々変動が明らかになってきたが、各サイトに測器を設置して地温と土壌水分の観測に多くの欠測や異常値が発生している。夏に1回のみの観測であるため、測器やデータロガーのメンテナンスが充分に行えないためである。今年度は初夏から現地に入り、より丈夫なロガーに交換するなどもして、基礎的データの季節変化と空間変動を示すことができるようにする。その他の観測継続するとともに、成果をまとめつつある準備中の論文を完成させて公表する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] CH4 flux and its stable isotope ratios in a taiga-tundra ecotone, East Siberia2012
Author(s)
Shingubara, R., Iwahana, G., Takano, S., Nakamura, M., Maximov, T., Sugimoto, A.
Organizer
6th Annual International Workshop "C/H2O/Energy balance and climate over boreal and arctic regions with special emphasis on eastern Eurasia"
Place of Presentation
総合地球環境学研究所(千葉市)
Year and Date
2012-03-07
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