2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本植民地における在来住宅・住様式の「日本化」に関する研究:台湾漢人住宅を事例に
Project/Area Number |
21404014
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青井 哲人 明治大学, 理工学部, 准教授 (20278857)
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Keywords | 建築史・意匠 / 台湾 / ハッカ(客家) / ヴェトナム / 日本植民地 / 揚床 / 起居様式 / 椅子座・床座 |
Research Abstract |
本研究は台湾漢人住居に広く観察される〈総舗〉と呼ばれる揚床状の設備について、その歴史過程を植民地支配下における漢人在来住宅・住様式の「日本化」の観点から多角的・包括的に解明するものであり、2010年度は下記の調査研究を実施した。 1、2010年8月3日~8月22日の日程で台湾調査を行った。これまで福建南部出身のいわゆるホーローの家屋と起居様式を対象としてきたが、本調査では雲林県・高雄県・新竹県のハッカ(客家)集住地域での家屋調査と聞き取りを実施し、ホーローと同一形態の揚床状の設備が広範に観察されること、ハッカ語では北部で〈大眠床〉、南部で〈大舗院〉と呼ばれることなどの知見を得た。また台南県、高雄県、雲林県において竹造家屋の補足調査を行い、〈竹床〉と呼ばれる竹製の就寝プラットフォームの形態類型を確認した。 2、2010年12月4~5日に、研究代表者、連携研究者、調査補助者を中心とする研究会議を実施した。本研究課題の目的と研究計画を再確認した上で、これまでの知見の整理と今後の調査研究の展開に関する議論を行った。 3、2010年12月23日~2011年1月7日の日程でヴェトナム調査を行った。ホーチミン・シティ、ホイアン、フエ、ハノイといった都市ならびにその近郊農漁村において、家屋調査と聞き取りを行い、漢族と越族の複雑な文化的交渉関係のなかで起居様式や儀礼に関わる多様なプラットフォームの存在を確認・記録した。なお、当初中国〓州地域の補足調査も計画していたが、2009年度に行った〓門~福州地域の調査と同様に〈総舗〉に類する揚床状の設備は存在しないとの情報提供があり、所期の目的を達成するための有効な調査研究の実施という観点からこれをとりやめた。
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Research Products
(2 results)