2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本植民地における在来住宅・住様式の「日本化」に関する研究:台湾漢人住宅を事例に
Project/Area Number |
21404014
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青井 哲人 明治大学, 理工学部, 准教授 (20278857)
|
Keywords | 建築史・意匠 / 台湾 / 澎湖群島・馬祖群島 / 花蓮縣 / 日本植民地 / 揚床 / 起居様式 / 椅子座・床座 |
Research Abstract |
本研究は台湾漢人住居に広く観察される<総舗>と呼ばれる揚床状の設備について、その歴史過程を植民地支配下における漢人在来住宅・住様式の「日本化」の観点から多角的・包括的に解明するものであり、(A)分布、(B)成立起源、(C)変容・定着過程の3つのサブテーマを掲げて追求している。平成23年度はこれまでの調査実績を踏まえつつ下記の調査を行った。 (1)23年8月5日~22日に、台湾(中華民国)の膨湖群島、馬祖群島、花蓮縣において住居調査(実測および聞き取り)を行った。膨湖群島では総舗の起源の一類型を示す事例を多数採集できた。馬祖群島はこれまで天候不順等のため調査が実現できなかったが、今回の調査で総舗が存在しないことを確認した。花蓮縣等の台湾本島東部もこれまで調査できなかったが、先住民族エリアへの植民地期における漢人開拓の展開が、総舗類型の観点からもモザイク状の分布を形成してきたことを確認できた。 (2)23年12月23日~24年1月8日に、台湾(中華民国)の台中県・嘉義県・南投県等において住居調査(実測および聞き取り)を行った。台中県では1935年大地震後の復興過程で建設された住宅の調査を、嘉義県では総舗普及の技術的・生産的背景となる林業・製材業関係の調査を、南投県では木材流通の確立以前の台湾家屋の主たる材料であった竹の生産・流通および竹造の家屋と就寝設備の調査を各々行った。 調査(1)(2)をもって、研究3年目にあたる平成23年度において、サブテーマ(A)(B)はほぼ研究計画の目標を達成するためのデータを収集することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に、総舗の植民地期以降への展開過程について、戦後復興期の公的住宅団地で室内の調査を行う予定であったが、資料収集・調査準備が遅れ実施できなかった。これ以外は、各年度の調査計画が天候条件等のため実施できない等の問題があったが、平成23年度までにカバーできており、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
戦後復興期に公的に供給された住宅団地の調査を行うことで、植民地に漢人住居において形成・波及した総舗の、植民地解放後への継承の一面を検証できることを想定しているが、一般の町屋市街地や村落での住居調査と異なり、近代的な住宅団地での調査には相応の準備が必要であるので、この方面の研究実績を有する白佐立氏(東京大学)に調査計画策定・実施について支援を要請し、調査準備を進めている。24年8月の調査で十分な成果に達しない場合も、24年12月~25年1月の調査で補足調査を行うことで、所期の目的は達成できると考えている。
|
Research Products
(1 results)