2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガンジスカワイルカの総合的長期生態観測システムの構築と長期モニタリングの実施
Project/Area Number |
21404016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉松 治美 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90436577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
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Keywords | ガンジスカワイルカ / 淡水棲イルカ類 / バイオソーナー / エコーロケーション / クリック / PAM / ビームフォーム |
Research Abstract |
研究最終年度である本年度は、平成21年度(2009年11月~)にから、3年間にわたり、毎年乾季の数ヶ月間に継続して行っているナローラ地区に棲息する10数頭のガンジスカワイルカのグループの長期リアルタイム生態音響モニタリングのデータを基に、河川環境や地形の経年変化にともなうイルカの行動様式変化についての総合的解析を進めた。観測期間中は、専用HPにおいて、ナローラの観測地点の水面下でのイルカのリアルタイム位置情報(2次元軌跡)を世界に発信している。サーバーに集積したデータから、観測装置の設置場所近傍を行き来するイルカのXY軌跡と密度情報について、日毎、6時間毎、1時間毎にグラフ化したものを専用HP上に表示できるシステムを構築した。イルカのシグナルとボート等のノイズの区別のために導入したCentroidfrequencyによる信号レベルについても表示できる。長期観測によってのみ得ることができる観測データの解析を集中的に進めることで、ガンジスカワイルカのエコーロケーションクリックの、1)クリックの指向性は水平・垂直ともに12度程度と狭い、2)捕食等のため対象に接近する際のエコーロケーションクリックは、他の歯クジラ類と同様にサーチ、アプローチ、ターミナルの3つのフェーズに分けられる、3)ターミナルフェーズにおいてもICI(Inter Click Interval:クリック発振間隔)は10msec以下に下がらない、という音響特性が明らかになった。その生態については、日周的な遊泳パターン、季節的な特定場所への滞留傾向と移動傾向が明らかになってきた。これらの観測成果をもとに、インドの共同研究者らとともに淡水棲イルカ類観測のための汎用システムとネットワーク化を構築、アジア域に棲息する他の淡水棲イルカ類の音響観測の提案を行い、チリカ湖やボルネオでは本観測システムの応用・展開が進行している。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Networks for dolphins in Asia2011
Author(s)
浦環
Organizer
International workshop on collaborative research and conservation of the Mahakam freshwater dolphin
Place of Presentation
Samarinda, Borneo, Indonesia(招待講演)
Year and Date
2011-12-15
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