2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミシシッピ湿地林のハリケーン後遺症と回復に関する時空間的、生態学的、生理学的研究
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21405022
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 福壽 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
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Keywords | ハリケーンカトリーナ / ヌマミズキ / ヌマスギ / ナンキンハゼ / センダン / 冠水 / 耐塩性 / ベタイン |
Research Abstract |
現地調査では、1)ハリケーンがヌマスギ・ヌマミズキ湿地林に与えた影響、2)外来種ナンキンハゼとセンダンの侵入拡大、の2点について解析した。調査地はニューオーリンズ郊外の低湿地である。調査は2010年には外来種ナンキンハゼとセンダンが侵入した4か所の林分に、2011年には低湿地のヌハリケーンの被害の異なる3か所のヌマスギ・ヌマミズキ林に調査区を設けた。各調査区からナンキンハゼとセンダンの個体を伐採し、成長速度を測定した。在来種マスギ・ヌマミズキ林のハリケーンによる枯死木の70%は幹折れで、生存木の32%が幹折れの被害を受けていた。一方、外来種の侵入している林分はハリケーンの際には高潮の影響は受けたものの浸水はなく比較的乾燥していた。天然林内の林床に侵入したナンキンハゼは他の調査区と比べて個体数も少なく、サイズも小さかった。それに対し林冠木が破壊された調査区にはナンキンハゼとセンダンの2種が高密度で侵入し、他の高木性の樹種はほとんど見られなかった。2006~2010年の5年間でセンダンの大きな個体では樹高11m、胸高直径18cmに達していた。ナンキンハゼとセンダンが同時に侵入した2つの調査区では、2種の競争に大きな違いが見られた。やや乾燥気味の立地ではセンダンの成長速度が早かったが、低湿地では2種間の成長差が見られなかった。これら外来種の大部分はハリケーン来襲の翌年2006年に発芽しており、大規模撹乱が外来種2種の分布拡大の引き金になったと予想された。さらにモデル実験では、ヌマミズキ、ナンキンハゼ、センダンを対象とし、塩水による土壌冠水条件下での生理的反応の差異を比較検討した。供試苗木には各2年生実生苗を用い、塩濃度0mM、38mM、75mM、150mMの水に2011年7月2日から7月30日の4週間冠水させた。ナンキンハゼは塩濃度が上昇しても成長が旺盛であり、光合成も低下しなかった。この結果、3樹種のうち最も耐塩性が高いのはナンキンハゼであった。
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Research Products
(4 results)