2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21405024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 潤 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (30343099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克文 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (50300695)
吉永 龍起 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (30406912)
ミフー マイケル 東京大学, 海洋研究所, 特任研究員 (10528079)
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Keywords | ウナギ属魚類 / 資源 / 熱帯種 / セレベスウナギ / 遺伝子 / 形態 |
Research Abstract |
ウナギ資源の効果的な保護・管理政策が提示できない理由の一つは、数千キロに及ぶ大産卵回遊を含む海洋生活期の実態が不明なことである。そこで本研究は、まず、百キロ以下の小規模回遊を行う熱帯性のセレベスウナギ(Anguilla celebesensis)をモデルとして、ウナギ属魚類の海洋生活期の全貌を解明することを目的とした。セレベスウナギの産卵場および仔魚の回遊・分散過程を調べるため、これまでの研究航海により得られた熱帯性ウナギ属レプトセファルスの種判別および分布様式の再検証を行った。その結果、従来の形態学的知見ではセレベスウナギもしくはオオウナギ(A.marmorata)に分類される標本の中に、これまで知られているウナギ属魚類18種のいずれとも異なるミトコンドリアDNA遺伝子型を持つ4個体が含まれることがわかった。体長と日齢、採集地点の海流などから、これらはフィリピン・ルソン島周辺に接岸するものと推定された。そこで、インドネシア北部からルソン島で採集したウナギ属魚類計166個体の形態とミトコンドリアDNAを詳細に調べたところ、このうち35個体が、形態的にも遺伝的にも他種とは異なる1群を形成することが明らかになった。そこで、このグループを19種類目のウナギ属魚類A.luzonensisとして記載した。本種は、従来のウナギ属魚類の分類において、セレベスウナギと認識されていた可能性が極めて高い。このことから、セレベスウナギをモデルとした本研究遂行のためには、まず、A.luzonensisの分布や生態に関する基礎生物学的情報を収集し、両種の生態・資源学的な特性を明確に区別することが急務となっている。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
青山潤(分担)
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Journal Title
ウナギの系統と大回遊の謎.海洋生命系のダイナミクス・シリーズ・第1巻「海洋の生命史-生命は海でどう進化したか(東海大学出版)
Pages: 341-358
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