2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21405024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 潤 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30343099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克文 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50300695)
吉永 龍起 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (30406912)
ミラー マイケル 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (10528079)
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Keywords | ウナギ属魚類 / 資源 / 熱帯種 / セレベスウナギ / 遺伝子 / 形態 |
Research Abstract |
百キロ以下の小規模回遊を行うことが明らかになっている熱帯性のセレベスウナギ(Anguilla celebesensis)をモデルとして、ウナギ属魚類の海洋生活期の全貌を明らかにすることを目的とした。しかしながら、ルソン島北部で採集したウナギ属魚類計35個体の形態とミトコンドリアDNAを詳細に調べたところ、これらは形態的にも遺伝的にも他種とは異なる1群を形成することが明らかになった。そこで、このグループを19種類目のウナギ属魚類A.luzonensisとして記載した。本種は、従来のウナギ属魚類の分類において、セレベスウナギと認識されていた可能性が極めて高い。すなわち、セレベスウナギをモデルとした本研究遂行のためには、まず、A.luzonensisの分布や生態に関する基礎生物学的情報を収集し、両種の生態・資源学的な特性を明確に区別することが急務である。そこで、これまで得られたウナギ属仔魚の分布を調べたところ、セレベスウナギがインドネシア周辺海域など多島海域で産卵、限られた周辺にのみ分布するのに対し、本種は北太平洋に産卵場を持ち、西部北太平洋一帯に広く分布する可能性が示唆された。このことは、小規模産卵回遊と限定的な分布域特性を前提として企画した本研究の根幹に係わる大きな問題である。新種記載という生物学的には極めて重要な発見があったものの、本研究遂行のためには、これら両種の分類と生態に関し、さらに詳細な基礎情報の集積が必要である。
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Research Products
(7 results)