Research Abstract |
2009年2月-2010年10月にかけて,インドネシア・スラウェシ島のポソ湖流出口の簗を用いて降海回遊を開始したA.celebesensisの雌64個体とA.marmorataの雌37個体を採集した(回遊群).ポソ湖内および周辺河川で延縄と鰻筒を用いて定着期の雌のA,celebesensis 21個体とA.marmorata 21個体を採集した(非回遊群).GSIと最大卵群卵径の計測および卵巣の組織観察を行ったところ,A.celebesensisの回遊群のGSI(6.9±1.8)と最大卵群卵径(392.2±49.3μm)は,A.marmorataの回遊群(GSI:3.1±0.8,最大卵群卵径:229.8±35.5μm)に比べて顕著に高いことが分かった。組織観察においても,A.celebesensisの回遊群の35.9%が第一次卵黄球期,60.9%が第二次卵黄球期まで成熟が進行していたのに対し,A.marmorataの回遊群の多く(81.1%)が油球期であり,A.celebesensisは降海回遊時の成熟度が著しく高いことが分かった.孕卵数はA.celebesensisが1,881,600-11,465,400粒,A.marmorataは10,060,120-57,711,360粒と推定された.水産庁調査船開洋丸および北光丸により,マリアナ諸島西方海域で採集されたA.marmorata(2008年6月雄1個体(M-1),2009年6月雌雄各1個体(F-1,M-2),2010年8月雌1個体(F-2))について,肥満度,GSI,最大卵群卵径の計測および生殖腺の組織観察を行った.その結果,卵巣に排卵後濾胞が観察されたことなどから,雌2個体は産卵経験個体と判断された.F-2の孕卵数(残卵数)は僅か481,789粒であり,既に卵巣卵の約97%を産卵した可能性がある.また,卵径頻度分布が2個体とも双峰型であったことから,ウナギ属魚類が複数回産卵を行うことが示唆された.
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