2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるダニ媒介性動物原虫感染症の流行実態の解明と予防対策の確立
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21405036
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
玄 学南 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 教授 (10292096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 潤也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 研究員 (80535328)
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Keywords | Babesia / Theileria / マダニ媒介 / 東南アジア / 疫学調査 / 遺伝子診断 / 血清学診断 / 予防対策 |
Research Abstract |
本研究は東南アジアにおけるダニ媒介性動物原虫感染症の流行実態の解明と予防対策の確立を目指して実施する。本年度に実施した研究内容と得られた研究成果は以下の通りである。 1.タイ国北部地域(チェンマイ県・チェンライ県・ランパン県)における牛など家畜のマダニ媒介性原虫感染症の流行実態を調べた。計642頭の牛の血液サンプルを採集し、組換え抗原を用いたELISA法にて抗体検査を行ったところ、Babesia bovisとBabesia bigeminaに対する抗体保有率がそれぞれ73.8%と69.1%であった。この結果より、ウシバベシア症はタイ国北部地域広く流行しており、本症の制圧対策は当地域の牛の生産性向上に重要であることが示唆された。 2.ベトナム中部地域(Thua Thien Hue省、Quang Tri省)における牛、水牛など家畜のマダニ媒介性原虫感染症の流行実態を調べた。計96頭の牛と43頭の水牛より血液サンプルを採集し、全DNAを抽出した。ウシバベシア原虫特異PCRとウシタイレリア原虫特異PCRを用いて、血液サンプル中の原虫DNAの検出を行ったところ、ウシではそれぞれBabesia bovisが21.9%(21/96)、Babesia bigeminaが16.7%(16/96)、Theileria orientalisが13.5%(13/96)の陽性結果であった。一方、水牛ではそれぞれBabesia bovisが23.2%(10/43)、Babesia bigeminaが0%(0/43)、Theileria orientalisが25.5%(11/43)の陽性結果であった。これらの結果により、ベトナム中部地域の牛と水牛にはマダニ媒介性バベシア原虫とタイレリア原虫感染症が高率に流行していることが、初めて明らかとなった。
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Research Products
(7 results)