2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 大雄 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50283487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩間 一雄 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50131272)
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Keywords | グラフ / ネットワーク / アルゴリズム / 定数時間 / 乱択 / マトロイド / ナップザック問題 / オンラインアルゴリズム |
Research Abstract |
グラフの次数制限モデル上の定数時間アルゴリズムについて研究をしている。現実の問題をグラフに定式化した場合、ほとんどの場合が疎になることが分かっており、次数制限モデルはたいへん重要な枠組みである。本年度は以下の成果を得た。グラフG=(V,E)は空でない任意の辺部分集合F⊆Eが|F|≦k|V(F)|-lを満たすとき(k,l)-sparseと言われる(ただしV(F)はFに属する辺に接続する頂点の集合)。(k,l)-sparseな辺集合を独立集合と看做すことでマトロイドが定義できる。これをG上の疎性マトロイド(sparsit ymatroid)と呼ぶ。疎性マトロイドは、連結性、剛性、木のパッキングなど様々な重要な問題の共通の一般化であり、極めて重要な概念である。本研究において、疎性マトロイドのランクの定数時間近似アルゴリズムを与えた。このような一般性の高いマトロイドに対する定数時間近似アルゴリズムはこれまでには無く、定数時間アルゴリズムに対する極めて重要な一歩である。本結果は理論計算機科学の欧州最高の会議であるICALP2012(7月,Coventry, UK)に採録が決定している。 また、ナップザック問題に対する定数時間近似アルゴリズムも構築した。ナップザック問題に対するε近似アルゴリズムは過去にも見つかっているが、線形より少ない時間でのアルゴリズムはこれまでには無かった。しかも過去に得られているNP完全問題に対する定数時間アルゴリズムはすべてグラフや論理式の次数を制限するなど、制限付きのものであったが、本アルゴリズムは一般のナップザック問題に対してε近似を定数時間で与えている。この結果は国際会議TAMC2012(5月,北京)に採録が決定している。
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