2011 Fiscal Year Annual Research Report
実験的手法による超大規模相互結合網の理論的体系化と工学的応用
Project/Area Number |
21500049
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
横田 隆史 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90334078)
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Keywords | 相互結合網 / 並列計算機 / ルーティングアルゴリズム / 準広域情報 / 輻輳 / 性能指標 / 非最短経路ルーティング |
Research Abstract |
周囲の通信の混雑状況に応じて適宜ルーティング経路を変えられる機能の有無により適応型/非適応型ルーティングに大別される.非適応型は適応型に比べ輻積箇所を回避する能力に欠けるとされてきたが,種々の通信パターンについて定常/非定常の通信状況を模したシミュレーション評価を行った結果,各ルーティングアルゴリズムの通信性能は通信条件により一長一短であり,特に優れた方式があるわけではないことが判明した. さらにシミュレーション中のシステム各部の詳細な検討を行った結果,以下のことが明らかになった.(1)通信性能は輻鞍に対する耐性の度合いで決まる.輻輳が生じる臨界転送負荷は,通信パターンによって決まるノード=ノード間の通信路の重畳の度合いに大きく依存することが明らかになった.(2)適応型ルーティングでは輻較回避の能力が期待されていたが,実際の効果は大きくはなく,場合により非適応型と同等あるいはそれ以下となることが判明した.(3)適応型ルーティングを効果的に行うには,現状の対症療法的な手法ではなく,予防的な手法が必須である. 直接網の評価で得られた上記の知見が間接網でも同様に発生しうることを確認するため,新たにfat-treeトポロジの評価環境を構築し,最初のステップとして通信状況の可視化を可能にした.大規模システムの中で生じている現象は,小規模シミュレーションでは顕著にならないことが多い.たとえば適応ルーティングは大規模化するほど選択肢が多くなるが,転送特性の面ではさほど効果がない.本研究では,こうした超大規模化に伴って顕在化する問題を明らかにできた.また,本研究により得られた知見をもとに,新しい発想での相互結合網の制御手法を検討している.これは次の課題として取り組んでいく予定である.
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Research Products
(18 results)