Research Abstract |
平成22年度は,以下の3つの研究を実施した. 1.まず,造形支援システムの中核をなす,手描きスケッチから対数美的空間曲線を創成し,その空間曲線を用いて対数美的曲面を創成する手法を提案した.次に,その手法を用いた対数美的曲面創成システムの開発を行い,有効性を明らかにした.さらに,3次元位置測定装置を用いて,創成した曲面の直観的制御をVR技術を用いて行った.最後に,評価実験を行った結果,従来の入力デバイスに比べ,より短時間での曲面創成が可能となった. 2.次に,美しい曲線(面)の応用として,形成外科手術用テンプレートの開発を行った. 本研究では耳介形状に着目し,様々な被験者におけるその曲線の分析と分類を行い,その結果を用いてテンプレートを製作することを目的とした.具体的には,まず被験者50名の耳介形状を撮影し,画像処理によりその輪郭曲線と対耳輪下脚部曲線を抽出した.次に,曲率プロファイルによりそれらの曲線の性質を分析し,耳介輪郭曲線3タイプ,対耳輪下脚部曲線2タイプに分類を行った,その結果から,90種類(3タイプ×2タイプ×15サイズ)のテンプレートを製作した. さらに,それらテンプレートを実際の形成外科手術に適用し,その有効性を明らかにした. 3.加えて,造形支援システムの発展を考え,拡張現実感(AR)を導入し,対数美的曲面の評価にも着手した.拡張現実感により現実空間(環境)における光源環境を再現し,その中で対数美的曲面をシミュレーションするシステムを開発した.具体的には,精密な拡散反射色で曲面の映り込みを再現するため,金属半球に反射した光源環境を球面調和解析した結果を用いてレンダリングを行った.また,開発したシステムを用いて,様々な環境下(晴天,曇天,夕日など)における曲面の印象の違いに関する評価実験を行い,環境が曲面の印象に与える影響を明確にした.
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