Research Abstract |
高輝度FPDにおいて高臨場感HDR映像を再現することを最終目標として,平成23年度は,以下の5項目について取り組むことを目標としていた.[1]色順応を考慮したHDR画像のトーンマッピング法を開発する.[2]高輝度ディスプレイのマルチレベルハーフトーニング手法を開発する.[3]種々の色度,輝度をもつHDRシーンデータベースを構築する.[4]主観評価実験を通じて,実シーンと再現画像の色度変化を解析する.[5]HDRシーンの画像再現における客観的な評価規範を提案し,提案手法の検証を行う.それぞれの項目に対する実績を記す. [1]前年度までに,色順応を考慮したHDR画像のトーンマッピング技術の理論構築がほぼ完成に至ったことから,実験室に構築したHDRの実シーンに対して,心理物理実験を通じて検証を行った.その結果,シーンのレンジに依存して関数の傾きを変化させることが有用であることを発見し,改良を行った. [2]理論構築はほぼ終了し,実時間で実現する実装部分に課題が残っていた.プロトタイプ実装を試みて動作確認を行ったが,視覚的に切り替え速度が視認でき,引き続きシステム構築を継続する必要がある.[3]様々な色温度のHDRシーンについて,屋内外において撮影し,データの獲得を継続している.屋外シーンは,全方位HDR画像を定期的に計測してデータベース化を行っている. [4]屋内のHDRシーンに対して,明度,彩度,色相を意図的に変化させた再現画像を作成し,一対比較法により心理物理実験を行った.好ましい色再現評価,メモリマッチング評価,実シーンと比較した評価の3種類を行い,彩度に対して有意に評価が関係する解析結果を得た. [5][4]の結果を受けて,主にメモリマッチングと実シーン比較の評価法において,適切な画像再現の評価規範の原案を作成した.さらに評価実験を進めて,提案規範の適切性の検証を今後継続予定である.
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