2009 Fiscal Year Annual Research Report
声道と音源の相互作用が音声の個人性に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
21500184
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
竹本 浩典 National Institute of Information and Communications Technology, ユニバーサルメディア研究センター・超臨場感システムグループ, 専攻研究員 (40374102)
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Keywords | 音声生成 / 音源 / 声道 / 相互作用 / 個人性 |
Research Abstract |
本年度は、オペラ歌唱法の習得者を被験者として、通常発話時と歌唱時の声道形状をMRIで計測し、その声道模型を造形する予定であった。しかし、撮像を行っていたATR-BAICの1.5Tの静磁場強度を持つ装置が老朽化により急遽運用を停止したため、実験が中断した。また、代替の3.0Tの静磁場強度を持つ装置で声道の撮像を試みたところ、パラメータが最適化されておらず、十分な精度の画像が得られなかったため、本年度中の声道形状の計測を断念した。 そこで、計画を前倒しして、22年度に予定していた、声道の入力インピーダンスから声帯の2質量モデルや2次元モデルを駆動する声帯振動モデルの開発を行った。このモデルでは、音源波の声道による反射を入力インピーダンスから計算して声門における体積流と圧力の計算に組み込むことで厳密解を得ることができる。また、同じ手法を用いて、近年その重要性が指摘されている、声門下部の系(気管・気管支・肺など)による反射も、モデルに組み込みこんだ。 本年度は、まず声門下部の系の影響を検討した。声門下の系はHarper et al.(IEEE Trans.Biomed.Eng.48, 543-550, 2001)の実測値に基づくモデルを用いた。従来、声門下部の圧力は一定であると仮定されてきたが、反射波の影響により、500Pa以上の圧力変動が生じた。またその影響により、例えば母音/a/では、声門体積流がRMSで17%も減少した。これらの結果は、Titze(J.Acoust.Soc.Am.123, 2733-2749, 2008)の結果とほぼ一致した。
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Research Products
(5 results)