Research Abstract |
小型軽量なビデオカメラの普及や一般ユーザによるインターネットを用いた映像配信の機会増加が著しい.そのような状況で映像制作に関して非専門的なユーザにより制作された映像を視聴する機会が増加している.しかし,撮影や編集により決定される映像表現である,ノンバーバル情報の表現に関しては,撮影者側の知識や技術が十分ではないため,撮影者の表現意図が伝わらなかったり,あるいは不適切に理解してしまう状況が多々生じている.このような問題を解決するため,映像撮影時に表現を意図するノンバーバル情報を指定することにより,それに対応した映像表現となるような撮影を支援するビデオカメラシステムを構築した. 撮影支援において,例えば撮影マニュアル情報を単純に電子化するような手法では,撮影方法が理解できたとしても,実際の撮影状況が適切に実行できているかどうかの判断は非専門的な撮影者には困難である.その点を踏まえ,提案手法では撮影者が目標とするノンバーバル情報表現を入力すると,その表現に適切なショットサイズ,撮影角度,ズーム操作を撮影モデルより参照し,撮影状態を随時そのモデルと比較することにより不適切な撮影要素を修正するように具体的指示を提示するカメラシステムを構築した.構築した撮影支援システムでは,ビデオカメラ映像の被写体領域検出,ビデオカメラに設置した加速度センサ,ならびにズーム操作スイッチ位置センサにより,ショットサイズ,撮影角度,ズーム操作速度を検出する.これら撮影パラメタが目標とする映像表現となる範囲にあるか否かを判定し,その範囲外にある場合には適切な撮影となるように具体的な修正指示を提示する.これにより,撮影方法と撮影パラメタの調整を適宜提示することにより,映像表現に関する専門的な知識獲得や訓練を事前に行っていない一般ユーザにおいても,より適切な撮影が可能となることが評価実験により確認できた.
|