Research Abstract |
映像制作に関して専門的な知識や技術を持たないユーザがビデオカメラにより映像撮影をする場合,被写体をフレーム内に捉えることや被写体の撮影サイズを満足しているか否かが主たる撮影目標であり,ショットサイズやカメラ操作により映像効果として表現されうる感性情報については考慮しない,あるいはそれに対する重要性を認識していない場合がほとんどである.また,非言語情報,すなわち撮影法の如何により表現される感性情報と撮影者の表現意図としての感性情報が整合していない場合は,映像を介した他者とのコミュニケーションの齬齟を生じさせる原因となる. これまでに,撮影者が非言語情報表現に関する表現目標を明示することにより,目標とする非言語情報を適切に表現することを支援するインタラクション手法を検討し,それに基づく撮影支援システムを実装した.撮影時の非言語情報表現技法としては,ショットサイズ,撮影角度,ズーム操作の有無ならびに操作の緩急により表現されるものを対象としたが,その撮影パラメタの適正範囲に関する具体的指標には確立したものが無い.そのため本研究では一定した評価を得ている映画を選定し,その映画映像から上記撮影法により感性情報付与がなされている場面を抽出し,それらパラメタの適正範囲を求めた.ショットサイズパラメタに関しては被写体の顔領域面積,撮影角度に関しては映画映像と角度パラメタを変化させて生成したCG映像との一致,また,ズーム速度に関しては単位時間当たりの顔領域拡大(あるいは縮小)率により評価した. また,提案システム使用の有効性の評価として,撮影支援機能を持たないビデオカメラシステムと提案システムとの比較を行った.その結果,提案手法に基づくシステムによる撮影では多くの事例で適切な撮影計画がなされたが,少数の事例ではインタフェースの認識性の問題に因ると考えられる,撮影計画に沿わない動作が見られた.
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