2011 Fiscal Year Annual Research Report
音声,音楽刺激に誘発される感性の能動的特性に関する生理学と音響学の融合研究
Project/Area Number |
21500209
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武田 昌一 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10245293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐生 昭吾 東京都市大学, 工学部, 教授 (00356908)
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Keywords | 近赤外分光法イメージング装置 / 感性 / 音楽 / 感情音声合成 / ビートトラッキング / 脳の情報処理 / 百人一首 / スペクトル傾斜 |
Research Abstract |
研究の目的 脳波計や近赤外分光法イメージング装置(fNIRS)を用いて、感性のメカニズムをさまざまな視点から解明することを目的とする。具体的課題として、(1)音楽と脳の反応、(2)音声と脳の反応、について感性的側面から基礎検討を行っていく。なお、ヒューマン・インタフェースの利用を想定した場合、動作を伴う場合が多く、これらの視聴覚刺激に対して能動的な反応をする場合についての下記のような知見を得る。 1.ビートトラッキング(音楽に合わせて手を叩く)時、音楽の演奏・聴取時の脳の情報処理過程の推定・モデル化 2.感情音声の認知過程の推定、感情生成モデルと高品質感情音声合成方式の提案 3.かるた競技時の脳の情報処理過程のモデル化 本年度の実績の概要 l.音楽行為:(a) ビートトラッキングに関連して、音楽聴取時、その音楽を聴かずに頭の中でイメージしたとき、聴取+イメージングの3場合について脳波計測を行い、聴取+イメージング時に視覚野が最も活性化する、未知曲と既知曲では、既知曲の方が脳全体が活性化するなどの知見を得た。関連発表6件。(b) 周期的に繰り返す同調に対応する音楽・音声におけるリズム的要素について、音響的な測定を中心として、基礎検討を行った。関連発表2件。 2.感情音声の認知・合成:(a)これまで解析した韻律的特徴と声質の特徴の一つであるスペクトル傾斜を制御することにより、さまざまな度合いの「怒り」と「沈んだ悲しみ」を合成する方式を提案した。関連発表11件。(b)多くの言語障害者、健常者を対象に感情音声受容時の反応を収集した。関連発表1件。 3.かるた競技時の脳の情報処理:(a)昨年行った取り札認識聴取実験結果の解析の第1段階として、取り札認識力が競技かるた経験年数によって差があるか調べた。その結果有意差は認められなかった。更に、決まり字前後の音韻の種類により認識時間に大きな差があることが明らかになった。関連発表4件。(b)競技時の脳計測に関しては、簡易型光脳機能イメージング装置を使用した予備実験を行った。 その他の研究を合わせて合計32件発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的にfNIRSや脳波計測の実験が遅れ気味。実験計画や方式開発(音声合成など)に解決すべき課題が多く、当初予想していた以上に時間が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
全体的に、最終年度はfNIRSや脳波計測など生体実験を中心に結果をまとめていく。 1.ビートトラッキング(音楽に合わせて手を叩く)時、音楽の演奏・聴取時の脳の情報処理過程の推定・モデル化当初計画通り、視覚刺激を用いて動きあるいは動きをイメージしたときの反応をfNIRS計測を中心に行って行く。 但し周期的に繰り返す同調に対応する音楽・音声におけるリズム的要素についての検討は、担当研究者が持つ制約条件から、計画を変更してポリグラフを使わずにフットと呼ばれるリズム単位の音響的測定を中心に行っていく。 2.感情音声の認知過程の推定、感情生成モデルと高品質感情音声合成方式の提案 既に任意度合いの感情音声合成の第1版は完成しているので、予定どおり合成音の聴取実験と生体計測実験を併用して行って行く。更に、言語聴覚士研究者の参入に伴い、言語障害者感情音声聴取時の反応について心理実験中心の検討を追加する。 3.かるた競技時の脳の情報処理過程のモデル化 近年安価なfNIRS装置も出回っていることから、脳波実験は取りやめ、fNIRS計測を中心に実験を行っていく。また、取り札認識聴取実験結果の解析もまだ一部しか行っていないので、引き続き解析を行い脳の情報処理過程をモデル化するための知見を得る。
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Research Products
(33 results)