2011 Fiscal Year Annual Research Report
ディスコースにおける概念化と言語化の認知言語学的考察―エモーションの役割
Project/Area Number |
21500261
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
宮浦 國江 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (50275111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 勇 名古屋大学, 文学部, 教授 (90182039)
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Keywords | 認知文法 / エモーション / マルチ・ストーリー・モデル / レトリック戦略 / 認知言語学 / 概念化 / コンストラクション文法 |
Research Abstract |
認知言語学的立場からディスコースにおける概念化と言語化の諸問題を考察する本研究において、23年度は「マルチ・ストーリー・モデル」に基づきリーディングにおけるSTORYスキーマ活性化の重要性について論じ、宮浦(2012)にまとめた。またエモーション表現を収集し、そこに見られるメタファとメトニミの関わりを考察した。HAPPY IS UPに代表的に見られるように肯定的エモーションにはメタファが深く関与している一方、ANGERなどの否定的表現にはHOT FLUID IN ACONTAINERのようなメタファも関与するものの、cold sweat,turn paleなど生理学的徴候によるメトニミ表現が優位を占めることが明らかになった。これらの研究に関連して、形容詞における主観性(subjectivity)、客観性(objectivity)、間主観性(intersubjectivity)の究明が重要な点として浮かんできた。例えば、a bleak whiter morningは、概念化の対象に内在する属性(寒く冷たい冬の朝)と、対象のある属性が刺激となって概念化者に生じるある認識(私が寒々しい憂鬱な気持ちになるような冬の朝)とを両極におく概念である。また、形容詞の多くがもつ尺度性は社会的、文化的規範と深く関わるため、今後間主観性の観点からの考察を進める必要性が明らかになった。英語教育への応用を考察する中で、音声面、特にプロゾディの重視、マルチ・ストーリー・モデル、ディスコースレベルでのSTORYスキーマ活性化により、一貫した[形式-意味]の記号的文法観での説明が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)