2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン蛋白オリゴマーの生化学的性質および神経細胞毒性と感染性の検討
Project/Area Number |
21500337
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 健介 九州大学, 医学研究院, 助教 (80380616)
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Keywords | プリオン蛋白 / オリゴマー / 界面活性剤 / ゲル濾過 / 遠心カラム / プロテアーゼ / 全反射顕微鏡 / 蛍光抗体 |
Research Abstract |
プリオン持続感染細胞ScN2aに治療薬を投与して異常プリオン蛋白の動態を解析する研究で、種類の異なる薬剤を投与して蛋白重合度変化の違いを詳細に検討した。薬剤投与によりプロテアーゼ抵抗性異常プリオン蛋白だけでなく、プリオン蛋白オリゴマーも抑制された。しかし、コンゴ・レッドおよびその誘導体化合物を投与した場合には、分子量数100kDa程度の比較的小さなオリゴマーの抑制効果が乏しいのに対して、ペントサンポリ硫酸投与では十分な抑制効果が示された。これが生体での治療効果に影響を及ぼしている可能性があり、低分子オリゴマーが神経細胞毒性に関与することが示唆された。全反射顕微鏡を用いた解析で、蛍光標識した抗プリオン蛋白抗体を培養細胞から調製したサンプルと反応させて、プリオン蛋白と結合したと考えられる輝点を検出・測定した。未反応の遊離蛍光抗体およびプリオン蛋白モノマーと結合した低輝度の輝点をガウス分布のあてはめにより除外して、重合プリオン蛋白に複数の抗体が結合したと考えられる高輝度のスポットを定量化した。異なるエピトープを認識する抗体を用いて比較解析を行ったところ、高輝度のスポットの割合は抗体ごとに異なり、オリゴマーを構成するプリオン蛋白分子の異常な重合や構造変換を示唆している可能性がある。また、ヤコブ病剖検例の検討を継続して、ヒトのプリオン病におけるペントサンポリ硫酸脳室内投与例のうち、4例の剖検データを蓄積した。治療群では、非治療コントロール群と比較してプリオン蛋白オリゴマーの割合が低下している傾向を認めた。プリオン病の病態解明にプロテアーゼ抵抗性という指標だけでなく、蛋白重合度や構造変換という指標も重要であることが示された。
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Research Products
(7 results)