2010 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣凍結によるハムスター・スナネズミ・モルモット系統保存法の開発
Project/Area Number |
21500398
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
鈴木 治 独立行政法人医薬基盤研究所, 生物資源研究部・疾患モデル小動物研究室, 主任研究員 (70235935)
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Keywords | 系統保存 / 卵巣凍結 / ハムスター / スナネズミ / モルモット |
Research Abstract |
スナネズミの卵巣凍結保存による系統保存法を確立するため,ハムスターで成功したガラス化保存法が使用可能かを検討した。毛色検定が可能なように被毛が白色(MGW系)と黒色(MGB系)スナネズミを使用した。凍結時の卵巣サイズは長径の半分の位置で2分割とし,DAP213液によるガラス化法で液体窒素内にて凍結保存した。一方,卵巣嚢内への卵巣移植についてはスナネズミでは卵巣周囲脂肪が少ないうえに卵巣嚢が非常に脆弱という特徴があるため,ハサミではなく,高周波電気メスにより卵巣周囲脂肪と卵巣嚢を切開と同時に止血する方法をとった。また,卵巣が細長いため卵巣嚢に開けた穴を広げずに卵巣を除去するのは困難なことから,借腹雌自身の卵巣は除去せずに卵巣嚢内の隙間に移植卵巣を滑り込ませる方式をとった。麻酔法はガス麻酔とした。凍結保存卵巣を融解後,MGW系卵巣をMGB系雌へ,また逆にMGB系卵巣をMGW系雌へ,それぞれ3個体ずつ計6匹の雌への卵巣移植を実施した。術後回復ののち,移植卵巣と同系統の雄と交配し,毛色検定を試みた。しかし,MGB卵巣を移植したMGW雌1匹が出産したのみで(毛色は野生色のため失敗),他はペアリングがうまくいかず,出産には至らなかった。雄との喧嘩による死亡例がMGW雌(MGB卵巣を移植)で2例見られたので,剖検したところ卵巣嚢内には借腹雌自身の卵巣とともに変性縮小した卵巣片が見られ,卵巣嚢内への卵巣の挿入・保持には成功しているものの,生着には失敗しているものと思われた。これらのことから,スナネズミ卵巣移植を成功させるには,移植免疫と,スナネズミの特徴であるペアリングの困難さ(一夫一婦制といわれ,組み合わせが難しい)の2点に配慮する必要があると思われた。次年度は,モルモット卵巣移植とともに免疫抑制を考慮したスナネズミの卵巣移植を追加検討したいと考えている。
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Research Products
(9 results)