2009 Fiscal Year Annual Research Report
無負荷・非接触法による骨組織の力学定数の成分選択的その場測定
Project/Area Number |
21500401
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 直樹 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (40142202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 和也 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (00510017)
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Keywords | X線回折 / 温度因子 / コラーゲン / 弾性率 / 脱灰骨 |
Research Abstract |
ウシ大腿骨骨幹部から緻密骨を切り出し(1)完全脱灰骨と(2)部分脱灰骨を用意した。0.5M EDTAを用い、反応時間と骨試料のミネラル分率の検量線を作成した。これに従い、ミネラル体積分率0.25の試料を作成した。X線回折には、北海道大学大学院先端生命科学研究院設置の生体分子用X線回折装置(R-Axis7)および、北海道大学大学院先端生命科学研究院設置の水平ゴニオX線回折装置(Rad 2R)を用いた。前者では、回折の2次元パターン撮影、後者では、2θ-1次元スキャンを行った。温度因子測定のため、液体窒素を用いて、室温から-30℃まで、コラーゲンのd周期(0.29nm,ヘリックス軸に沿ったアミノ酸1残基あたりの並進距離に対応する)の回折強度の温度変化を調べた。温度因子から求めた弾性率は、完全脱灰骨(骨コラーゲン)で1.58GPa、ミネラル体積分率0.25の試料で7.08GPaだった。n=5に対してStudent t-検定を行い、p<0.05でこの差が有意であることが認められた。 これは、骨内でコラーゲンの見かけの弾性率が、ミネラルの近傍で大きくなっているという従来の予想を実験的に裏付けた、世界で始めての結果である。種々のミネラル分率でこの測定を行い、ミネラル分率に対する骨コラーゲンの見かけの弾性率の依存の様子がわかれば、充填粒子によるマトリックス強化機構に関する理解が深まり、人工骨開発のために材料に求められる構造・機能を明らかにすることが可能である。
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