2011 Fiscal Year Annual Research Report
無負荷・非接触法による骨組織の力学定数の成分選択的その場測定
Project/Area Number |
21500401
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (40142202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古澤 和也 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (00510017)
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Keywords | X線回折 / 温度因子測定 / コラーゲン / 残留応力 / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究で最も難しいと予想された点は、骨のX線回折パターンから骨コラーゲン(BCol)の回折シグナルを抽出することである。これは、ヒドロキシアパタイト(HAp)がCa2+やPO43を含むことから、これらの原子散乱因子がコラーゲン・タンパク質のそれを大きく上回るためである。原理的には可能でも、実際的にはこの分離は不可能に近いと言わざるを得ない。我々は、先ず、骨ミネラルを減らして、HApとBColのピークが共存する2・プロファイルを得ることを目標とした。HAp分率を0.15程度にするとこれが実現できることが分かった。しかしながらBColの0.286nm子午線反射はHApの一群の反射(211,112,300)の大きなピークの裾で観測され、温度因子の影響を受けるのが、BCol反射だけであるとしても未だ分離の精度に問題がある。我々は、HAp分率を0.15付近で、HAp分率の骨試料のHAp(002)反射と上の一群の反射の強度の相関を取り、前者の強度をO外挿したときの後者の強度をBColの反射としてその温度因子を決定した。これから、HAp存在下(HAp分率0.15)のBColの弾性率が、腱や靭帯といった軟組織中のコラーゲンよりも有意に大きくなっていることを初めて示した。これから、通常の骨の中では、HAp近傍のBColはより大きな見かけの弾性率を示すことが推測できる。これらはミネラルによるコラーゲンの強化を直接的に示した、世界で初めての結果である。
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