2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌を用いたウィルス様中空ナノ粒子の迅速大量生産システムの開発
Project/Area Number |
21500426
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多田 宏子 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 准教授 (60271061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀徳 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80037613)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / エンベロープ蛋白質 / 蛋白質工学 / 薬物送達システム / ワクチン / 擬似ウィルス粒子 / 大腸菌発現系 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)のエンベロープ蛋白質(HBsAg)が形成する「直径数十nmのウィルス様の中空ナノ粒子(HBsAg粒子)亅は、薬剤を選択的に標的細胞へ運ぶDDS担体として有用である。本研究は、このHBsAg粒子をより迅速、大量、安価に生産するために、これまでは困難であった「大腸菌を用いたHBsAg粒子生産法」確立する事を目的とする。 平成21年度は、まずHBsAg変異体の大腸菌での発現を試みた結果、野生型HBsAgS蛋白質(226残基)のままで発現した場合は大腸菌で生産されるHBsAg蛋白質をSDS-PAGEで検出する事ができなかったのに対し、N末端部とC末端部両方を欠失させたHBsAg蛋白質に検出精製用FLAGtag配列を融合した変異体を「disulfide結合形成促進遺伝子を組込んだ大腸菌株」で発現させた場合には顕著な発現バンド(培養液1mL当り10μg程度)が認められた。この欠失型HBsAg蛋白質は、菌体内可溶性画分と不溶性画分の両方に発現されていた。通常の培養温度(37℃)で発現培養すると不溶性画分へ、低温(20℃)で培養すると可溶性画分へ多く発現した。この可溶性画分をショ糖密度勾配遠心解析した結果、欠失型HBsAgが野生型HBsAg粒子と同様の沈降速度を示した。以上の結果より、上記欠失体を用いる事により欠失型HBsAg粒子の大腸菌での大量発現が可能である事が示された。 来年度以降は、可溶性画分より欠失型HBsAg蛋白質粒子を精製する方法および不溶性画分からHBsAg蛋白質を精製し粒子構造へ再構成する方法について検討して「大腸菌を用いたHBsAg粒子生産法」を確立するとともに、生産された粒子と野生型粒子の性状比較を行なう.
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Research Products
(1 results)