2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌を用いたウィルス様中空ナノ粒子の迅速大量生産システムの開発
Project/Area Number |
21500426
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多田 宏子 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 准教授 (60271061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀徳 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80037613)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / エンベロープ蛋白質 / 蛋白質工学 / 薬物送達システム / ワクチン / 擬似ウィルス粒子 / 大腸菌発現系 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)のエンベロープ蛋白質(HBsAg)が形成する「ウィルス様の中空ナノ粒子(HBsAg粒子)」は、ワクチンやDDS担体等として応用性の高いバイオ素材である。このHBsAg粒子をより迅速大量安価に生産するために「大腸菌を用いたHBsAg粒子生産法」確立する事を目的として、平成21年度にはN末端とC末端を欠失させた欠失型HBsAg変異体を用いる事により、大腸菌による過剰発現を可能とした。そこで平成22年度は、 1)HBsAg変異体(C末端に精製用FLAGタグとHisタグを付加)を過剰発現した大腸菌体を超音波破砕したところ、欠失型HBsAg変異体を可溶性画分に回収した。これを抗FLAG-抗体カラムで精製して、純度80%程度の精製品を取得して電子顕微鏡で観察した結果、市販HBsAg粒子に類似した粒子構造が認められた。この試料は、市販のHBsAg-ELISA(Enzygnost)での反応性が低く、HBsAgエピトープ周辺の立体構造は上手く形成されていない事が示唆された。 2)欠失型HBsAgのC末端に抗体認識配列(ZZ-tag)を融合した変異体(dHBsAg-ZZ)を新たに構築して大腸菌で発現させた結果、菌体可溶性画分へ回収された。この画分には抗体結合能も検出された。可溶性画分をNi-カラムとショ糖密度勾配遠心で精製したところ、SDS-PAGE上でほぼ単一のバンドを示すdHBsAg-ZZが精製された。これを電子顕微鏡で観察したところ、HBsAg粒子とほぼ同サイズの粒子である事が確認された。 以上より、大腸菌の可溶性画分から容易に欠失型HBsAg様粒子を取得できる事が判った。平成23年度は、dHBsAg-ZZ粒子について蛋白質カチオン化技術を用いた解析と、得られた粒子の抗体提示粒子としての応用性の検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)