2011 Fiscal Year Annual Research Report
武道固有の身体技法に関する基礎的研究-中学校武道教材のために-
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21500552
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80114205)
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Keywords | 礼法 / 合掌力 / 三重十文字の体づくり / 一本 / 充実した気勢 / 適正な姿勢 / 伝統の強調 / 運動学習教材 |
Research Abstract |
本研究は、「心と体を一体として捉えた」日本固有の運動学習即ち古流剣術の基礎構造を明らかにすることで、中等教育の体育においてスポーツ教材とは趣を異とする日本の伝統的な行動様式の面白さ(間と気の感覚養成)を織り込んだ新たな武道教材の作成を目指すことにある。 最終年度となる23年度は、古武道共通の身体技法である「三重十文字の体(たい)作り」・「合掌体」・「すり足」・「上虚下実」・「攻防一致」・「一足一刀」・「機先」などについて、個別の種目(剣道)との関係を考慮し、各配当時間内での位置づけと実施内容と方法及び適正な時間を検討し、授業で活用できる指導計画及び評価方法を試論的に作成した。実施に際しては、実施内容の検討と精選、指導計画及び指導案の作成、埼玉大学学生を対象とした予備実践、埼玉大学附属中学での授業実践、剣道経験をもつ生徒への適用と自己評価及びアンケートなど、段階を追って実施し、「いつでも、どこでも、だれにでもできる」指導計画・評価方法のモデルを提示することを目的とした。 「礼法」が「相手を尊重する」行為であるのみならず、強い体づくりのための「稽古」であること、また、それ自体が護身術と直結していることなどを中心軸とした教材として「三重十文字の体(たい)作り」・「合掌体」が生徒の関心を高め、それが剣道の「充実した気勢」と「適正な姿勢」作りと「一本」という打突に結びつくことをも理解させるのに有効であることが判明した。これを軸とし、剣道の「一本」とは何かを考えさせる伝統性を強調する運動学習教材の道が開かれ、新学習指導要領の課題に十分応えることにもなることが確認できた。
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Research Products
(3 results)