2011 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツチームの競技力向上を目的としたスポーツカウンセリングの実践的研究
Project/Area Number |
21500617
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
土屋 裕睦 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (80272186)
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Keywords | メンタルトレーニング / チームビルディング / ソーシャルサポート / 競技力向上 / 心理的サポート / 集団凝集性 / 集合的効力感 / 尺度開発 |
Research Abstract |
本研究は、スポーツチームの競技力向上ならびに試合場面での実力発揮に役立つ心理的サポートのあり方について、スポーツカウンセリングの実践を通じて明らかにしようとする、縦断的かつ実証的研究である。本年度も、優れた競技成績を収めたアスリートに対してインタビュー調査を実施し、スポーツチームの競技力向上、試合場面での実力発揮を促す要因を検討した。その結果、チーム内でソーシャルサポートを活性化することの重要性が示された。この研究の一部をスポーツ心理学研究にて発表した。さらにこれらの検討に基づき、構成的グループ・エンカウンターに準拠し、エクササイズとしてメンタルトレーニング技法の学習を組み込んだ、チームビルディング・プログラムを開発した。本年度は、効果検証を進めるために、統制群を用いた介入研究を行ったところ、本プログラムの適用により、チームメンバー間のソーシャルサポートが活発となり、チームワークの向上、試合での実力発揮に役立つことが確認された。これらの成果をThe 6th Asian South Pacific Association of Sport Psychology Congressにて発表した。さらに本年度も、スポーツチームに入部した大学新入部員に対して、本プログラムを「新入生サポートプログラム」として提供し、その効果を縦断的に検討した。その結果、実力発揮に関わる仮説モデルとして、集団凝集性と集合的効力感に着目することの有用性が示された。この知見を踏まえ、現在は「スポーツチームの心理状態をアセスメントする尺度」開発に向けた予備調査を行っている。この概要については、スポーツ心理学会第38回大会のシンポジウムにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は第1部「実力発揮をもたらす心理状態の探求」、第2部「心理サポートの実力発揮に与える影響」、第3部「チームビルディング・プログラムの開発・実践」で構成されており、平成25年度の完成を目指している。現在はプログラムの洗練化と尺度開発に取り組んでおり、おおよそ期限内に研究課題が達成可能と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「モデル構築⇔仮説検証⇔事例検討」の循環的枠組みの中で、複数の研究を同時並行で進める予定であった。そのため、年間の全仕事時間の35%のエフォートを配分する予定でいたが、本務にてコース長・研究委員長等の役職を担当することになり、当初見込んだエフォートが圧迫されかねない。したがって今後は、より効率的に作業を進めるため、専門的知識の供与、人的資源の活用に努めたい。
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