Research Abstract |
本研究は,長期滞在型キャンプ(30泊31日)が小中学生の生体リズムに及ぼす生化学的影響を効果について明らかにすること,中でも,キャンプの開始,終了に伴ってどの程度の期間で改善し,どの程度の期間で元に戻るのかという点について検討すること,歩数と唾液メラトニン濃度との関連について検討することを目的とした. 最終年度に当たる平成23年度は,平成22年度までに得られた唾液メラトニン濃度,歩数,睡眠状況調査の結果をより詳細に解析した.対象は,モビリティランド・ハローウッズが主宰する長期キャンプ(2010年7月23日~8月22日実施)に参加した疾患を有しない9~12歳の健康な男女16名であり,分析には,唾液メラトニン濃度のデータに欠損がなかった11名分のデータが使用された.唾液採取は,キャンプ開始10・8・6・4・2日前,期間中1・2・3・15・29日目,終了14・28日後の計12回に亘って,いずれも21:30に実施された.歩数測定には,ヘルスカウンタHJ-710IT(オムロンヘルスケア株式会社製)を用い,キャンプ開始26日前~終了28日後の期間に実施し,分析には,キャンプ開始10日前~期間中30日目の期間,キャンプ終了18~28日後の期間の1日総歩数が使用された.睡眠状況調査は,キャンプ開始10日前~終了28日後の期間における就床時刻,寝つき,中途覚醒,目覚めの状況が自己記入により記録された. 本研究の結果,対象者の唾液メラトニン濃度はキャンプが始まって3日間という開始直後の時期に急増し,その後もキャンプ後半にかけて漸増する様子が示された.同時に,キャンプが終了して14日以内には開始前の水準に戻ってしまう様子も示された.さらに,このようなメラトニン分泌の一背景として,身体活動量との関連についても検討を加えた結果,歩数と夜の唾液メラトニン濃度との間には正の相関関係が示された.また,キャンプ前後に比べてキャンプ期間中は,就床時刻が早くなる様子,寝つき,中途覚醒,目覚めの状況がよくなる様子も示された.
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